目ヂカラは綺麗な瞳から! 今からでもできる、シミ、シワ、目の下のくまの対策!
まだまだ残暑が厳しい今日この頃。日中の日差しは、美肌の天敵ですよね。でも、実は見落としがちなのが目。紫外線による目の影響やこの季節のアイケア事情は、女性なら誰しも知っておきたいところ。そこで今回は、美容にも詳しい現役眼科医として人気の村上沙穂先生にお聞きしました。
●この時期、目の病気にならないために対策したいこととは
――まず、紫外線を浴びることで目はどのような影響を受けるのでしょうか?
村上沙穂先生(以下、村上先生):長期間浴び続けることで、瞼裂斑(白目の一部が黄色く変色し盛り上がる)、白内障(主に加齢が原因で水晶体が白く濁る)、翼状片(結膜=白目の細胞が異常増殖し、角膜=黒目に侵入する)などに影響があると言われています。
短期間でも紫外線を一気に浴びると、電気性眼炎(いわゆる「雪目」)になりやすくなります。晴れた日の海やプールでは、太陽からの直接的な紫外線に加えて照り返しも強く、目の表面の細胞がダメージを受けて充血したり強い痛みを生じたりします。
――それらの病気を防ぐための予防策はあるのでしょうか?
村上先生:紫外線カットのサングラスやコンタクトレンズ、耳まで覆うツバの広い帽子、日傘などが有効です。ただ、紫外線はしみやシワの原因となりますが、全く浴びないことが健康に良いという訳でもありません。
人は紫外線を浴びることで体内でビタミンDを合成しています。過剰な紫外線対策はビタミンDが不足する可能性もあるのです。国立環境研究所によれば、夏場の晴天時、1日に必要なビタミンDを体内で作るために必要な日光浴の時間は、顔と手の甲で4~5分。
また、最新の研究では日光浴は近視を抑制する可能性もあると言われています。適度な紫外線対策が全身の健康には良いと考えられます。
――その他に、暑かったり汗をかきやすかったりすることで気を付けるべきアイケアはありますか?
村上先生:眼瞼炎やアトピー性皮膚炎など、まぶたの炎症が強く出ることがあります。
また、冷暖房環境で過ごす時間が長いとドライアイ症状が出やすくなります。その都度目薬をさす、目の周りを温める、加湿器を使う、ゴーグル型のメガネで目の周りを保湿環境にする等が大切です。また、まつ毛より内側のアイメイクや喫煙もドライアイを悪化させるので注意して下さい。そしてコンタクトレンズの管理には気をつけましょう。レンズを付けたり外したりするときの手洗いが不十分だと、感染性の結膜炎やものもらいの原因にもなりえます。そのほか、つけ置き洗いだけではなく、こすり洗いやすすぎもしっかり行う・人差し指か中指でレンズを動かすように両面を20回程度軽くこする・保存ケースは1ヶ月を目安に交換する、といった対策が必要です。
●どうしたら白目、黒目をキレイに保てる?
――白目や黒目を美しくするために必要なことを教えてください。
村上先生:白目の表面は結膜、黒目の表面は角膜です。それぞれを健康に保つことが、目力アップの秘訣ですよ。
まず白目のトラブルで最も多いのが結膜充血です。単なる結膜充血は、睡眠不足や加齢、ドライアイが原因であることがほとんど。充血以外に症状がなければ、しっかり睡眠や休養を取ること、目薬で目に潤いを与えることが大切です。 一方、痛みや目やに・まぶしさ・視力低下・頭痛などを伴う充血は、流行性角結膜炎や緑内障・ぶどう膜炎等の目の病気のことがあります。早めにお近くの眼科を受診しましょう。 また、白目が黄色い「黄疸」は肝臓や膵臓、胆嚢系の疾患の可能性があります。
――一方で黒目はどうでしょうか。
村上先生: 角膜の平均直径は約11~12mmで、肉眼的な個人差はごく僅か。黒目をキレイに見せるためには、大きさではなく質、つまり目の潤いが重要です。ドライアイが続くと目の潤いが減少し、表面に傷がつきやすくなったり充血したり、異物感や眼精疲労を生じることも。
ドライアイは、水分、油分、ムチン(糖蛋白)で構成される涙と関係しています。涙の水分減少の予防には、目薬(場合によっては防腐剤のないもの)で補うことが重要です。
また油分減少の予防には、「マイボーム腺」というまつげの根元~まぶたの内部にある脂腺がカギ。
――黒目のケアですぐできる対策はありますか?
村上先生:まつげの根元を清潔にするためにアイライナーを内側に引き過ぎない、マイボーム腺の油分を分泌しやすくするためにホットアイマスクを使って目元を温めることなどが有効です。また長時間PC作業に集中する時は、1時間に10分程度の休止時間を設けたり意識的にまばたきをしたりしましょう。PCのディスプレイをより下方に置いたり、コンタクトレンズの装用時間をなるべく減らして眼鏡を使用したりして、日常生活でも気を付けることが大切です。
メイクやカラコンで目を大きく見せるのは簡単ですが、自分自身の澄んだ目を綺麗に保ち、目力を鍛えることが一番です。
●今からでもできる、シミ、シワ、目の下のくまの対策!
――目元のシミやシワ、まぶたなど、瞳の印象や目元周りを綺麗に保つために大切なことがあったら教えてください。
村上先生:まぶたの皮膚は体の中でも最も薄く、なんと0.6mmしかありません。
また、シミに関しては、加齢よりも紫外線を浴びることで、表皮の角化細胞や色素細胞の遺伝子が傷ついた結果生じると考えられています。また喫煙も皮膚の老化に関係します。喫煙者はシワが目立ち、皮膚も黄ばんで見えるため、年齢の割に老けて見えてしまいますよ。
目の下のくまに関しては、原因が血行不良、脂肪のたるみ、くぼみ、色素沈着があると考えられています。
(取材秋山悠紀)
<プロフィール>村上沙穂
日本眼科学会会員、日本医師会認定産業医、着物着付け師範。 1987年生まれ、宮崎県出身。京都大学経済学部、岡山大学医学部を卒業。 ハーバード公衆衛生大学院への短期留学、医療系コンサルでのインターン、文部科学省の起業家育成プロジェクトでのイスラエル派遣等、国内外で幅広く活動する。予防医学、ヘルスケア事業、スタートアップ界隈などでアクティブに活動する中で、「人間が生きる時間の満足度や幸福感、日々の生活の快適さを最大限に高めたい」との思いから、「美しい世界を見ることのできる喜び」に関わりたいと決意し、眼科医の道を選択。医師免許取得後、岡山県倉敷市の「日本一救急車の多い病院」で2年間臨床研修。現在は都内病院にて、患者さんに見える喜びを提供すべく眼科医として日々奮闘中。 趣味は温泉、美味しいもの、ヨガ、散歩。
●この時期、目の病気にならないために対策したいこととは
――まず、紫外線を浴びることで目はどのような影響を受けるのでしょうか?
村上沙穂先生(以下、村上先生):長期間浴び続けることで、瞼裂斑(白目の一部が黄色く変色し盛り上がる)、白内障(主に加齢が原因で水晶体が白く濁る)、翼状片(結膜=白目の細胞が異常増殖し、角膜=黒目に侵入する)などに影響があると言われています。
短期間でも紫外線を一気に浴びると、電気性眼炎(いわゆる「雪目」)になりやすくなります。晴れた日の海やプールでは、太陽からの直接的な紫外線に加えて照り返しも強く、目の表面の細胞がダメージを受けて充血したり強い痛みを生じたりします。
――それらの病気を防ぐための予防策はあるのでしょうか?
村上先生:紫外線カットのサングラスやコンタクトレンズ、耳まで覆うツバの広い帽子、日傘などが有効です。ただ、紫外線はしみやシワの原因となりますが、全く浴びないことが健康に良いという訳でもありません。
人は紫外線を浴びることで体内でビタミンDを合成しています。過剰な紫外線対策はビタミンDが不足する可能性もあるのです。国立環境研究所によれば、夏場の晴天時、1日に必要なビタミンDを体内で作るために必要な日光浴の時間は、顔と手の甲で4~5分。
また、最新の研究では日光浴は近視を抑制する可能性もあると言われています。適度な紫外線対策が全身の健康には良いと考えられます。
――その他に、暑かったり汗をかきやすかったりすることで気を付けるべきアイケアはありますか?
村上先生:眼瞼炎やアトピー性皮膚炎など、まぶたの炎症が強く出ることがあります。
やさしく洗ってなるべく清潔な環境を整えましょう。
また、冷暖房環境で過ごす時間が長いとドライアイ症状が出やすくなります。その都度目薬をさす、目の周りを温める、加湿器を使う、ゴーグル型のメガネで目の周りを保湿環境にする等が大切です。また、まつ毛より内側のアイメイクや喫煙もドライアイを悪化させるので注意して下さい。そしてコンタクトレンズの管理には気をつけましょう。レンズを付けたり外したりするときの手洗いが不十分だと、感染性の結膜炎やものもらいの原因にもなりえます。そのほか、つけ置き洗いだけではなく、こすり洗いやすすぎもしっかり行う・人差し指か中指でレンズを動かすように両面を20回程度軽くこする・保存ケースは1ヶ月を目安に交換する、といった対策が必要です。
●どうしたら白目、黒目をキレイに保てる?
――白目や黒目を美しくするために必要なことを教えてください。
村上先生:白目の表面は結膜、黒目の表面は角膜です。それぞれを健康に保つことが、目力アップの秘訣ですよ。
まず白目のトラブルで最も多いのが結膜充血です。単なる結膜充血は、睡眠不足や加齢、ドライアイが原因であることがほとんど。充血以外に症状がなければ、しっかり睡眠や休養を取ること、目薬で目に潤いを与えることが大切です。 一方、痛みや目やに・まぶしさ・視力低下・頭痛などを伴う充血は、流行性角結膜炎や緑内障・ぶどう膜炎等の目の病気のことがあります。早めにお近くの眼科を受診しましょう。 また、白目が黄色い「黄疸」は肝臓や膵臓、胆嚢系の疾患の可能性があります。
いずれも異常を感じたら早めに内科で相談しましょう。
――一方で黒目はどうでしょうか。
村上先生: 角膜の平均直径は約11~12mmで、肉眼的な個人差はごく僅か。黒目をキレイに見せるためには、大きさではなく質、つまり目の潤いが重要です。ドライアイが続くと目の潤いが減少し、表面に傷がつきやすくなったり充血したり、異物感や眼精疲労を生じることも。
ドライアイは、水分、油分、ムチン(糖蛋白)で構成される涙と関係しています。涙の水分減少の予防には、目薬(場合によっては防腐剤のないもの)で補うことが重要です。
また油分減少の予防には、「マイボーム腺」というまつげの根元~まぶたの内部にある脂腺がカギ。
化粧品や加齢、炎症などによってマイボーム腺の機能低下や脂腺が詰まると、涙中の油分が減って涙が蒸発しやすくなります。また、アイライナーやアイシャドウをやりすぎるとマイボーム腺の出口をふさぐことがあります。
――黒目のケアですぐできる対策はありますか?
村上先生:まつげの根元を清潔にするためにアイライナーを内側に引き過ぎない、マイボーム腺の油分を分泌しやすくするためにホットアイマスクを使って目元を温めることなどが有効です。また長時間PC作業に集中する時は、1時間に10分程度の休止時間を設けたり意識的にまばたきをしたりしましょう。PCのディスプレイをより下方に置いたり、コンタクトレンズの装用時間をなるべく減らして眼鏡を使用したりして、日常生活でも気を付けることが大切です。
メイクやカラコンで目を大きく見せるのは簡単ですが、自分自身の澄んだ目を綺麗に保ち、目力を鍛えることが一番です。
●今からでもできる、シミ、シワ、目の下のくまの対策!
――目元のシミやシワ、まぶたなど、瞳の印象や目元周りを綺麗に保つために大切なことがあったら教えてください。
村上先生:まぶたの皮膚は体の中でも最も薄く、なんと0.6mmしかありません。
皮膚の老化に主に影響を与えるものは加齢による内因的なものと、紫外線による外因的なものの2つ。皮膚を構成する表皮、真皮、皮下組織の3層が、加齢・紫外線・乾燥・物理的刺激などの影響で萎縮し、薄くなります。そしてそれらの層の結合組織も弱くなり、シワが生じます。紫外線対策やなるべく目をこすらないこと、皮膚の保湿や室内の加湿が重要です。
また、シミに関しては、加齢よりも紫外線を浴びることで、表皮の角化細胞や色素細胞の遺伝子が傷ついた結果生じると考えられています。また喫煙も皮膚の老化に関係します。喫煙者はシワが目立ち、皮膚も黄ばんで見えるため、年齢の割に老けて見えてしまいますよ。
目の下のくまに関しては、原因が血行不良、脂肪のたるみ、くぼみ、色素沈着があると考えられています。
後者3つは加齢や物理的な刺激、やせすぎ等が原因。血行不良は、十分な睡眠を確保すること、目元をホットアイマスクなどで温めるなどで対策してください。
(取材秋山悠紀)
<プロフィール>村上沙穂
日本眼科学会会員、日本医師会認定産業医、着物着付け師範。 1987年生まれ、宮崎県出身。京都大学経済学部、岡山大学医学部を卒業。 ハーバード公衆衛生大学院への短期留学、医療系コンサルでのインターン、文部科学省の起業家育成プロジェクトでのイスラエル派遣等、国内外で幅広く活動する。予防医学、ヘルスケア事業、スタートアップ界隈などでアクティブに活動する中で、「人間が生きる時間の満足度や幸福感、日々の生活の快適さを最大限に高めたい」との思いから、「美しい世界を見ることのできる喜び」に関わりたいと決意し、眼科医の道を選択。医師免許取得後、岡山県倉敷市の「日本一救急車の多い病院」で2年間臨床研修。現在は都内病院にて、患者さんに見える喜びを提供すべく眼科医として日々奮闘中。 趣味は温泉、美味しいもの、ヨガ、散歩。