前編 では、「赤ちゃんの聴覚を鍛えるには、太鼓の音がメインのシンプルでリズミカルな曲がおすすめ」という話をしました。後編では、「いつから」「どうやって」といった、具体的な方法について解説します。訓練は早いうちからが効果的赤ちゃんの聴覚に刺激を与え、訓練をするのであれば、だいぶ早い時期から始めてしまって構いません。赤ちゃんはお母さんのお腹の中にいるころからすでに音を聞くことができる能力を持っており、発達のスピードも視覚よりも速いためです。おおよそ、生後2週~3週のあたりから刺激を与えるようにするといいでしょう。生まれたばかりの赤ちゃんの耳には、生まれる時に内部に悪露が入り込んでいることが多く、そのせいで音が聞こえなくなっていることがあります。だからといって赤ちゃんの耳に耳かきや綿棒を入れるようなことをしてはいけません。赤ちゃんの耳は大人の耳よりも小さくデリケートなので耳の内部を傷つけたり、最悪の場合、鼓膜を破ってしまったりしかねないからです。赤ちゃんの耳から悪露を取り除きたい時には、脱脂綿を軽く耳の穴に入れてあげるようにしてください。あまり奥の方まで入れなくても、脱脂綿が耳の穴の内部の悪露を吸着してくれますので、3日もあれば耳の中がきれいな状態になります。(※編集部注:できれば、医師や看護師、助産師などに相談してから行うことをおすすめします。)鈴の音に反応するかどうかをチェック赤ちゃんの耳をきれいにしたら、きちんと耳が聞こえているかどうかをチェックしましょう。小さな鈴を準備し、赤ちゃんの耳から20cm~25cm程度離したところでチリチリとならしてみてください。赤ちゃんの聴覚が正常で鈴の音がきちんと聞こえていれば、鈴を振られた側の頬やまぶたの筋肉がぴくぴくするといった反応を見せるはずです。この小さな鈴による音は、赤ちゃんが3ヵ月を過ぎた頃からの聴覚訓練に、非常に役に立ちます。赤ちゃんに対していろんな場所、いろんな向きで鈴を鳴らしてあげると、赤ちゃんは鈴が鳴った方向に目や顔を向けることがあります。これを繰り返すことで、音が聞こえてくる方向を認識する訓練になるほか、音の刺激を感じる神経の回路と目や首の運動をつかさどる神経の回路がリンクし、知能が発達していくのを促すことができるといわれています。はじめてやった時に目や顔を向けなかったとしても焦る必要はありません。おそらくじっと音を聞いているような様子を見せるはずです。目や首を向けないからといって長い間鈴を鳴らし続けると、赤ちゃんが疲れてしまいますので、2分~3分程度で鳴らすのをやめるようにしてください。赤ちゃん用にオモチャの楽器をあげる時の注意また、赤ちゃんにオルゴールや小さなピアノをオモチャとしてあげる方がいますが、こういったオモチャをあげる時には、ひとつ注意すべきことがあります。こうしたオモチャでもきちんとした音階を出せるものはいいのですが、そうでないようなもの(特に安物のオモチャに多いようです)は赤ちゃんの音感に悪い影響を及ぼすおそれがあります。音痴になってしまうことも考えられますので、そうした不正確な楽器は与えないほうが無難でしょう。(子育ての達人)
2016年01月18日よく「胎教」などといって赤ちゃんがお腹の中にいる時点からクラシック音楽を聴かせたりする方法があります。お腹の中でも赤ちゃんは音を聞くことができますから、まったく意味のないことではないようです。では、生まれてきた赤ちゃんの脳の発達に役立つような音楽とは、どういうものなのでしょうか。赤ちゃんの聴覚を鍛えるには、でんでん太鼓がうってつけ!? 赤ちゃんをあやすための道具の中に、でんでん太鼓というものがあります。古くは童謡の中にも歌われ、使われてきた玩具ですが、生まれてすぐの赤ちゃんの聴覚を鍛えるためには、このでんでん太鼓はうってつけの道具になります。生まれてすぐの赤ちゃんは、おおよそ3ヵ月ぐらいになるまでは、旋律やハーモニーといったものを理解することができません。この時期の赤ちゃんに理解できるのはリズムのみです。このため、赤ちゃんの聴覚を訓練するのに、でんでん太鼓のような打楽器の音がうってつけなのです。赤ちゃんに聴かせるなら、クラシックよりもロック胎教でクラシック音楽を聴かせるというようなことが一時期流行りましたが、生まれてから3ヵ月ぐらいの赤ちゃんにはそれよりもシンプルでわかりやすい、リズミカルな音楽を使ってあげたほうが聴覚の訓練になります。音楽を聴かせるのであれば、ロック、ジャズ、サンバというようなリズム感のある音楽のほうが、理にかなっています。特に良いのはドラムのパーカッションなど太鼓の音で、しかもシンプルなリズムのものです。従って、手に入りやすさを考えるとでんでん太鼓はベストです(昔の人はメカニズムは分かっていなかったと思いますが、長年の経験などで、赤ちゃんに最適な道具を見つけていたと言えます)。赤ちゃんの聴覚を鍛えるのにおすすめの曲はそういう意味から考えて、赤ちゃんの聴覚を訓練するための曲をピックアップすると、小さな子ども向けの童謡の中で、たとえば「おもちゃのチャチャチャ」であるとか、「お猿のかごや」といったような、シンプルでわかりやすいリズム感のある曲が良いと考えられます。1日に2回~3回程度でいいので、聞かせてあげると効果があるでしょう。また、聴覚に刺激を与え訓練をするという側面以外にも、お母さんが寄り添って聞かせてあげる「子守歌」も大事になってきます。こちらは聴覚の訓練もさることながら、安心できるお母さんの声が情緒面での発育を促してくれるからです。なかなか寝ない赤ちゃんを寝かせる場合などには、リズミカルな歌ではなく、旋律主体の歌を歌ってあげたほうが良いでしょう。< 後編 に続く>(子育ての達人)
2016年01月17日双子育児は、ひとり育児とは違う部分がたくさん。実際に双子の育児をしてみて、役に立ったもの、個人的にはそうでもなかったと感じたものについて紹介します。そもそもひとり育児とどんな点が違うのか大きなお腹を抱え、早産の危機にさらされながらも、ようやく産まれたかわいい双子たち。でも、育児となるとなかなか大変です。当然ながら育児をする時間、お金、労力、何でも2倍かかります。2人同時に泣いたり、1人を抱っこして寝かせつけ、その間にもう1人のおむつを替える必要がでてきたり。でも、ママの手は1人分しかありません。そんな双子育児に必要なものとは…?双子育児で役に立ったもの・おやすみたまご双子を育児する中で一番嬉しいのは同時に眠ってくれること! しかし、特に生後3ヵ月に入るまでは、どんなにすやすやと腕の中で眠っていても、ベッドや布団に寝かせると、まるでスイッチが入ったかのように泣きだすことが多々ありました。片方が泣きだすともう片方もびっくりして泣きだす始末。そんな状況を改善してくれたのが、この「おやすみたまご」。簡単に言うとビーズ入りのクッションです。このクッションが、赤ちゃんが安心して眠れるカーブをつくってくれます。双子に限らず、子どもの「寝かせつけ神グッズ」といわれている、素晴らしいアイテムでした。・食洗機ミルクを使って双子を育児している人ならばわかるかと思いますが、とにかく哺乳瓶が大量に必要となります。1日7回のミルクだとしたら、消毒や洗うことを考えて3~4本×2人分は必要です。そのためにも食洗機があるのは助かりました。・乳母車(ベビーカーではありません)双子ともなると、散歩する時にそれぞれをツインズベビーカーに乗せるだけでもひと苦労。散歩をはじめても、エレベーターや少し細い道は通れなかったり、線路を超えるときにひっかかったりして、思ったよりもストレスがたまります。そこで見つけたのが乳母車でした。これだと、普通に抱っこして入れることができるので、余計な装着物もなく、かつベビーカーほど幅や長さも取らずに2人一緒に移動できるので大変便利です。車輪も丈夫なので多少の段差もスイスイと進めます。少し値段は張りますが、専用の安全枠を付ければ3歳くらいまでは使用できるそうです。だから、良い買い物ではないかと思います。参考: 東京乳母車 ・母乳ミルク代だって、2人ともなるとばかになりません。母乳育児が可能な方は、出産後忙しい毎日の中でも、なるべく母乳を与えるようにしておけば、トータルコストがまったく変わってきます。個人的にあまり必要ではなかったもの・双子用のベビーベッドもちろん便利なアイテムの一つです。今でもおむつ替えの時には使用しているくらいです。ですが、あえて双子用でなくてもよかったのかもしれません。もしくは、布団でもよかったな? と思っています。ペットを飼っている方や、双子でも大きめに産まれた方にはおすすめです。・バウンサー同時泣きを回避させるのによいと聞いていたので購入したのですが、うちには合わなかったようで、むしろ大泣きされてしまいました。もちろん、ご機嫌ですやすや眠る赤ちゃんもたくさんいます。この2つは個人的にはあまり役に立たなかった、というだけで、どちらも世間では役立っているといわれているものです。特にバウンサーは、合う赤ちゃんには本当に助かるアイテムと聞きます。まずは、短期間のレンタル等をしてみるのもよいかもしれませんね。なくてはならないもの・配偶者の手助け当然ながら必要です。世には「イクメン」という言葉が浸透してきていますが、双子の場合はいやでもイクメンにならざるを得ません。パパママふたりで育児をしないとママが疲れ果ててしまいます。育児そのものだけではなく、食器を洗ったり、洗濯物を干したり、簡単なお手伝いをするだけでママはとっても助かります。日中、パパがいない間はママしかいません。できるだけ便利アイテムを使って、赤ちゃんたちと過ごす時間をつくりたいものですね。そしてお休みの日は、パパも一緒に育児を楽しみましょう!(田中かなた)
2016年01月16日あけましておめでとうございます!みなさま、いかがお過ごしでしょうか?初めて息子と迎えたお正月。親戚一同集まって美味しいおせちを囲んで笑顔いっぱいの1日を過ごせました。2016年も「おかっぱちゃんの子育て奮闘日記」をどうぞよろしくお願い致します!さてさて、本編に。突然ですが、わたしの夫は双子です。夫には、背丈も顔もそっくりなお兄さんがいる。兄の名前はヒロシ、弟はアツシ。弟のアツシがわたしの夫。一卵性双生児とは、これほどまで似るものか! DNAが一緒なのでそれもそのはず。顔のパーツがほとんど一緒だし、髪が癖っ毛なところとか、視力が悪いところとか、声までそっくりなので、昔紹介してもらった時はえらく戸惑ったものだ。わたしたちの結婚式に出席した友人たちはあまりにも似ているので「新郎が二人いるみたいだ」と爆笑していた。それほどまでに似ている二人だけれど、おもしろいことに性格や職業は正反対。兄のヒロシは明朗活発で職業は俳優。弟のアツシは温厚で慎重な性格、職業は会社員。銀行の営業の仕事をしている。普段の生活も異なるし、やっぱり嫁ともなれば微妙に違いが分かってくるもので、今は見分けがつくし、目をつぶって声を聞き分けることも容易になってきた。しかしながら、これが息子となると、はたして違いがわかるのだろうか?子煩悩な夫にも負けず劣らず、双子の兄もこどもが大好きで、甥っ子が可愛くて仕方がない様子。毎週のように甥っ子を見に我が家にやってくるものだから、息子にとってはお父さんが二人いるような感覚になっているような気がしてならない。どちらがお父さんなのか、息子はどのタイミングで分かるのだろう?夫としては、いつか息子が間違えて「お父さん」と双子の兄のヒロシに言おうものなら、その夜枕を濡らしてしまうだろう。生後3カ月の現段階で、幸いにも息子は人見知りを全くせず、どんな人が抱いても泣いたりしない。ニコニコと笑顔を振りまいている。もちろん双子の兄、ヒロシに対しても、終始笑顔で機嫌が良い。お父さんだと思っているのかもしれない。母のことはおっぱいの匂いで選別できているようだけれど、きっとお父さんの区別はついていないんだろう。そんな中、双子の兄のヒロシが息子をお風呂に入れたいと言う。いつも夫がお風呂担当だけれど、双子がゆえ、そっくりだし、お父さんみたいなものだから、きっと大丈夫だろうと、任せることにした。夫から念入りにシャワーの持ち方や、身体の洗い方を教わり、裸ん坊になった息子を受け渡すと…。「ぎゃ~うぇ~~~!ぎょ~うわ~ん」と、いつにもなく息子が泣き始めた!!お風呂で泣くことがなかったので、わたしたちも戸惑う。違いに気付いたのか、「父ちゃんじゃねーじゃねーか!」 と、言わんばかりに大声を上げ、わんわん泣いて涙を流している。「大丈夫だよ~大丈夫だよ~よしよし~」とヒロシがなだめてみるも効果なし…(涙)。結局、終始泣きじゃくり真っ赤な顔で風呂から上がった息子。「こんな小さな脳みそでも、分かっていたのか!」と、母は関心するばかり。「親の見分けくらいつくわい」と、言っているかのような不服そうな顔で息子がわたしを見る。「やっぱり俺じゃなきゃダメだな〜。」と、ちょっとだけ誇らしげな顔をして、息子を眺めていた夫がなんだか可愛らしかった。まさに赤ちゃんの感性に驚いた一日であった。つづく次回は「生後100日を祝して! お食い初めの巻」をお届けします。
2016年01月14日こんにちは、イラストレーターの栗生です。年末年始に2人の子どもと遊んでいて、遊び方が今までとは変化していることに気がつきました。上の3歳児は、パズルやブロックに少しずつではあるけれど粘り強く取り組めるようになり、こちらが声をかけても聞こえないかのように没頭して遊ぶように。あと1ヵ月で1歳になる赤子は、マイペースに床のものを舐めたりしゃぶったりして過ごしていたのが、「ちょうだい」「どうぞ」などの声かけや手遊びなどのコミュニケーション系の遊びを好むようになりました。こちらが相手をしてやらず別のことをしていると、大抵怒りながら追いかけてきます。ちょっと大変ですが、追いかけて来るほうが来ない時よりもまだ安心。なぜって? 後追いせずどこかに行って静かにしている時に限って、トイレで便座を舐めようとしていたり、洗濯洗剤の容器をかじっていたり、ベビーゲートの隙間に挟まっていたり、まさかのテーブル上にいて(!)みかんに歯を立てていたりするからです…。この冒険心あふれる赤子は、ちょっと目を離した隙に姿を消しては何かやらかすので、親の肝は常時冷えっぱなしです。この人にも、ただ寝転んで愛嬌を振りまいていた時代があったんだな…と、遠い昔のことのように思い出しながら、今日も風呂場に向かって爆走する赤子を捕まえるのでした。今日のかるた「そこは危険地帯だ」
2016年01月13日皆さんは、「ミレニアル(ミレニアム)世代」と呼ばれる世代をご存じですか? アメリカのタイムズ紙も2013年5月号の特集として取り上げ、表紙も飾った、いわゆる「自己中心的」な現代の若者を示す代名詞。それがミレニアル世代です。今回はそんなミレニアル世代の特徴と、その世代から学ぶ、これからの子どもの育て方についてお話ししましょうミレニアル世代とはミレニアル世代(Millennial Generation)とは、おもに米国で1980年~2000年に生まれた現代の世界をになう若者たちを示す言葉です。この世代の若者は、「自分はほかの人より素晴らしい!」「私は天才的!」「私って最高!」と、とにかく自分が大好き。言葉を変えれば、ナルシスト世代と言ってよいかもしれません。FacebookやTwitterなどのSNS上で自分の写真を頻繁にアップする若者が多いことからも、自分大好きということがよくわかりますよね。このうらやましいほどの自信は、彼らが恵まれた時代に育ったことと、ちょうどITテクノロジーが加速し、誰もがインターネットでさまざまな情報を得たり、自己表現ができたりする時代に育ったということが関係しているそうです。よく、電車の中でスマートフォンを片手に画面に集中している若者を見かけませんか? 彼らがまさにこのミレニアル世代の若者です。褒めるだけではなく、厳しく怒る時は怒るミレニアル世代の幼少時代は、「悪いことをしたら怒る、厳しくしつけをする」という古風な育て方から、「褒めて育てる」という新しい育て方が世間一般に広まった時期でした。怒られることがなく褒められて育ったために、「自分は素晴らしい」「私は何でもできる!」という、自信がみなぎる世代が出来上がったとも言われています。自分に自信があるということは素晴らしいことですが、逆に物事が自分の思いどおりに進まなかったり、一度挫折を味わったりすると、そうそう簡単に立ち直れないというマイナス点もあります。現在子育てをする中でも、「子どもは褒めて育てる」ということが奨励されていますが、褒めるだけではなく、「時にはしっかり厳しく怒る」ことも子どもの心のバランスを取るには重要なことと言えるでしょう。親子のコミュニケーションを毎日しっかりとるインターネットを通して、バーチャルな世界に身を置くことの多いミレニアル世代は、他人の気持ちを察したり、理解したりする能力が極端に低いことが科学的に証明されています。悪気はないものの、相手の気持ちを汲むことができないのがこの世代の特長です。現在、子育てをしている皆さんの中にも「忙しい」ということを理由にして、インターネットの動画やゲームをベビーシッター代わりにしている親御さんも多いのではないでしょうか? 人の心を汲み取れる大人に育てるためにも、家庭では特に、親子のコミニュンケーションを日々しっかりとるようにしていきましょう。このように、とかくマイナスな面ばかりが取り沙汰されるミレニアル世代ですが、一方では自分にとって一番働きやすい方法を見つけることができ、異国の人や自分とは異なる考えの人でも気軽に受け入れられる、好感度の高いジェネレーションとも言われています。どの世代にも、良いところもあれば悪いところもあります。この記事を読んでいる皆さんの子どもたち、すなわち次世代の子どもたちは、ミレニアル世代の若者のように自分のことが大好きでありながら、他人のことも大好きになれる、強い心を持つ子に育てていけたらいいですね。(徳武加奈子)
2016年01月13日子どもに家のお手伝いをやらせていますか?「やりなさい」と言っても簡単には子どもは動かないもの。大変なことなので、つい後回しにしがちですよね。忙しいから仕方ないと思って親がなんでもやってしまうと、自立できない大人になってしまいそうなのが心配です。お手伝いをさせると、子どもはどう変わるのでしょうか?お手伝いを習慣にすると、家事の大変さ、大切さがわかる子に小学生は学校から帰ると、勉強に遊びに習い事、あっという間に夕食の時間です。手伝いをさせたくても、子どもはゲームやテレビの時間を確保したいので、簡単には動きません。だから仕方なく、お母さんが毎日すべての家事をこなしてしまうというのはわかります。しかし、大変なことですが、どこかで切り替えて、しっかりお手伝いの習慣を身につけさせたいものです。お手伝いを習慣にすると、子どもにはちょっとした変化が現れてきます。まず、家事の大変さ=お母さんが困る気持ち、を理解できるようになってきます。たとえば「じゅうたんの上でお菓子を食べないで」と注意したとします。・お手伝いをしている子「じゅうたんの上に食べかすが散らばると掃除が大変」と説明しなくても、すぐに注意が伝わりやすい。自分が気をつけるだけでなく、他の家族にも注意するなど、言われていないことまで気がついて行動してくれます。・お手伝いをしていない子「掃除が大変」と説明しても、なかなか注意が通らない。いくら注意しても繰り返す。毎日の家事の大変さがわかっていないので、お母さんの困る気持ちが伝わっていない。ちょっとしたことですが、この差は大きいですよね。お手伝いをさせなければ、家事の大変さ大切さというのは伝わりにくいものです。「子どもにとっては勉強や習い事が一番大切なこと)という考え方もあるかもしれませんが、長い目で見れば、いわゆる「大人の仕事(家事も含めて)」ができるように教えておくことは、生きる力を育むことにもつながる大切なことと言えるでしょう。お手伝いで勉強ができるようになる!? お手伝いをさせたからといって、すぐにテストの点数がアップするわけではありません。ですが、お手伝いを通して、「今、自分は何をするべきか」を考えるくせがついてきます。仕事を終わらせるために、自然と段取りや効率を考えたり、工夫したりするようになるからです。自分がするべきことを考えるので、宿題にもさらっと取り組むようになりますし、時間の使い方が上手になり、やりたいことをテキパキこなせるようになってきます。また、東京都などの調査では、身の回りのことを自分でしている子の方が、していない子より、問題解決力が高いという結果もでています。少し長い目で見れば、学力にとってもプラスになることは明らかといえます。人の役に立つ喜びを知るお手伝いをさせる、もうひとつのねらいは、「人の役に立つ喜びを知る」ことです。人の役に立って感謝されるのは、誰だって気持ちがいいことです。家族の役に立つ喜びを知ると、大きくなって人のために役立ちたい、社会のために働きたいという意欲につながります。実際に、子どもの頃に家事やお手伝いをした経験の多い人ほど、職業意識が高い傾向がみられるといった調査報告もあります。(注1)この調査では、「できれば、社会や人のためになる仕事がしたいと思う」について、「とてもあてはまる」人の割合が、お手伝い経験の多い人では44.6%、少ない人では24.4%と倍近い差があります。「自分にはなりたい職業や、やってみたい仕事がある」についても、お手伝い経験の多い人では35.9%、少ない人では21.5%という結果が出ています。職業意識だけではなく、道徳心や正義感についても、同様の傾向が見られるようです。(注2)お手伝いを習慣にするのは大変なことですが、勉強だけでは教えられない、生きるために必要なスキルや心を身につけることができます。次回はお手伝いを習慣づけるために、やるべきこと、やってはいけないことを紹介します。(注1) 「子どもたちの未来を育む家庭教育–家庭教育支援の取組について–」文部科学省(PDF) 出典:独立行政法人国立青少年教育振興機構「子どもの体験活動の実態に関する調査研究」(平成 22 年度)(注2)青少年の体験活動等と自立に関する実態調査(文部科学省 09年度調査)(KANA)
2016年01月12日子どもの機嫌が急に悪くなって、困ってしまったことはありませんか? 忙しい時や静かにしていてほしい時に機嫌を悪くされると、ママも疲れてしまいますよね。「いい加減にしなさい!」と叱ることもできるけれど、できれば声を荒げておさめたくない…。そこで、私が心がけている「子どもの機嫌をなおす魔法のことば」をシーン別に紹介しましょう。(1)朝起きたら「むすっ…」朝、なかなか起きないわが子に手を焼いていませんか? まだ眠そうで、何やら機嫌が悪そう。そんな時はゲームをしているように演出してみてはいかがでしょうか。たとえば、布団の中にいる子どもに対して「どこに隠れているのかな~? ここかな~?」とかくれんぼの鬼を演じ始めます。子どもが布団やベッドからすでに見えていても同様です。わが家の場合、声に気付いた息子は急に布団の中にもぐり始めます。こうなるとほぼ成功です。少し待っていると息子の方から「ここだーっ!」とがばっと起きてきます。眠気を忘れ、ゲーム感覚で楽しく起きてくれるのでおすすめの方法です。(2)友だちとケンカして「むすっ…」少し前までは「○○に嫌なことされた」「ケンカした」と子どもが言っても、「そんなこと気にしないの!」と話を流していました。しかし、それでは子どもの気持ちは落ち込んだまま。そこで、「○○くん(相手)、○○(わが子)のことが好きすぎて意地悪しちゃうのかもね」という風に相手の気持ちを考えた言葉がけをするようにしました。「好きなのに、なぜ意地を悪するのか」という疑問を抱かせるかもしれませんが「好き」というポジティブなことばを用いることで、また同じようなことがあった時に「こいつ、俺のこと好きなのかな…」とちょっとでも前向きにとらえ、嫌な気持ちが和らげばいいなと思い、こうした言葉がけをするようにしています。 (3)落ち込んだり、怒られたあとに「むすっ…」みんなができていることが自分にはできない、あるいは悪いことをして怒られてしまった…。そんな時、私は「過去に自分も経験した」話をするようにしています。たとえば子どもがかけっこでビリだったら「ママも小さいころは足が遅くてね~」、パパとの約束を守らなくて怒られたら「ママも昔、おじいちゃんにこんなことして怒られたよ~」と、過去の自分の経験をあげて子どもと同じ経験をしたことがある事実を伝えます。すると「え~、ママだめじゃ~ん!」と笑顔になってくれます。普段は何かと叱る立場のママも、こうして子どもと同じ立場で仲間意識を持たせると、いつもとは違った表情を見ることができます。笑顔になってくれれば、その後に励ましの言葉を掛けてもきっと前向きに受け取ってくれるはずです。今回はわが家に多いシュチュエーション別に、子どもの機嫌をなおす「魔法のことば」を紹介しました。子どもの性格や状況によって響く言葉も違うかもしれませんが、困ったときにぜひ参考にしてみてくださいね。(すだあゆみ)
2016年01月09日近年、海外では次世代の子どもたちに安全でおいしい食物を届けるため、子どもたちに実際に野菜を育てさせるプロジェクトが、学校や地域のコミュニティなどで盛んに行われているようです。子どもたちは、野菜を育てることで一体どんなことが学べるのでしょうか? 今回は、野菜作りで得られる代表的なメリットを5つ紹介します。子どもが野菜作りで得られること(1)観察力がつく晴れの日、曇りの日、雨の日、そして雪の日。天気はどのように植物の成長に影響を与えているのでしょうか? また、実際に毎日自分が世話をしている植物は、種をまいてからどれぐらいの日数で発芽が出るのでしょう? 毎日どれぐらい水を与えなければいけないのでしょう? そうしたことを考えながら農作物の世話をすることによって、幼児でも観察力が自然に身につくようになります。子どもが野菜作りで得られること(2)自然の生態系を学べる植物である農作物は、大地で育ちます。大地にはさまざまな昆虫や目に見えない微生物、野草などの生態が循環し、それらが土にたっぷりの栄養を与えてくれます。子どもたちは実際に土に触れて作業をすることにより、そこに存在している自然の生態サークルを学ぶことができるのです。子どもが野菜作りで得られること(3)責任感が身につく実際に農業プロジェクトに参加したことがある子どもたちは、丹念に農作物を育てる任務を完了することによって、思いやりと責任感が身についたと話します。ちなみに、そう感じるのは大人も同じようです。親子で野菜作りをすることで、何か新しいことに気づくきっかけになるかもしれませんね。子どもが野菜作りで得られること(4)自然や季節を体感できるモンテッソーリー、シュタイナーといったオルタナティブ教育でも、自然とのふれあいや植物、生物を実際に触って感じることを特に大切にしています。野菜作りで植物に触れたり、植物の成長から季節を感じたりすることによって、忙しい日常生活で私たちが忘れていた自然、そして、季節をもっと身近に感じられることでしょう。子どもが野菜作りで得られること(5)食への関心が高まる最近では、単に食べることの重要性を説く食育だけでなく、そこから発展して、食の源でもある農業に関する知識や経験を伝え、食べ物の安全性の大切さを教える「食農教育」が海外、そして国内でも盛んになってきています。安全な食べ物を自分たちの手で確保するということは、これからの未来を背負っていく子どもたちにとって、とても大切なこと。実際に農作物を作る過程を経験することで「食」に対する正しい知識、そして関心が身につきます。自分が丹精こめて育てた野菜を食べることによって、食事が楽しくなるだけでなく、毎日たくさんのことが学べる農業。本格的な畑でなくても、プランター栽培やベランダ菜園を利用して、プチトマトやジャガイモなどの野菜をお子さんと一緒に育てみるのもよいのでは? 何を作りたいかお子さんと話し合って、今から準備を始めてみてはいかがでしょう。(徳武加奈子)
2016年01月08日1月15日は「小正月」です。元日を「大正月」というのに対して、そう呼ばれるそうで、この15日をもって、お正月もいよいよ終わりです。元日から三が日にかけては、初詣に出かけ、今年の抱負や願い事を神様にお伝えしたのではないでしょうか。おせち料理やお雑煮を食べ、その後は七草粥をいただいたり、鏡開きをしたりと、日本古来のさまざまな風習を、お家でも自然と取り入れることができるのが、お正月かもしれませんね。意外と知られていない!? 小豆粥とは15日の小正月には、全国各地で「どんど焼き」(編集部注:どんと焼き、どんどん焼き、左義長、さぎっちょなどとも言われます)が行われます。お正月の松飾やしめ縄などを燃やして祓い清め、無病息災を祈る火祭りです。また、この日には、「小豆粥」を食べる風習もあります。小豆粥には、「今年一年の豊作を祈る」という意味や、その赤い色から「邪気を祓う」という意味も込められているそうです。七草粥に比べると、小豆粥を作る方は少ないかもしれませんが、実は、体にもやさしい、この時期にぴったりの行事食なんですよ!小豆粥の作り方小豆には、利尿作用や解毒作用があるとされ、むくみをとり、胃腸の調子を整えるのに効果的です。また、体のエネルギーを作るのを助け、疲労回復に役立つビタミンB1や、さまざまなミネラルも豊富に含まれています。年末からお正月にかけて、何かと食べ過ぎ、飲み過ぎてしまった方にも、栄養たっぷりの小豆を、消化がよく、体もあたたまるお粥にしていただくのは、とってもオススメです!お米と小豆を一緒に炊いてもいいですし、ゆであずきを使って簡単に作るのもOK。味付けも、シンプルに塩味にするのはもちろん、ぜんざい風にほんのり甘くし食べるのも、子どもたちには喜ばれそうですね!ぜひ今度の小正月には、家族みんなで、ほっこりと小豆粥をいただきましょう!(あまやゆか)
2016年01月06日明けましておめでとうございます。2016年が始まりましたね。お正月は実家の布団で昼までゴロゴロしていたいイラストレーター栗生です。実際は朝がやたら早い乳幼児たちが両横に寝ているので、朝寝など到底許されないわけですが…。以前は素晴らしい寝つきの良さだった我が家の赤子ですが、10ヵ月を過ぎた頃から、どうも寝なくなってしまいました。抱っこで眠りについたはずの子を布団に置いた瞬間に発せられる地獄の叫び声。慌てて抱き起こしゆらゆら&スクワットで寝かせ、再度着地にトライするも、今度は空中で横にしただけでビエ~~ン…。赤子はいつしか、布団を感知すると背中のセンサーが作動してサイレンが鳴る仕様に成長を遂げていたのです。なにそのセンサー、いつの間に搭載されたの!? 怖い!寝かしつけ業界では有名な、背中センサー問題。みなさんご存じかと思いますが、なかなかつらいですよね。何がつらいって、抱っこから解放されると思いきや、泣いて振り出しに戻った時の期待はずれ感。消耗感。そして、焦燥感。一度で済めばいいのですが、ループにはまってしまうと絶望的な気分になってきます。しかし人間、やられっぱなしではありません。とある本に「石のように重たくなるまで待つ」、つまり完全に寝入ってから布団に置けばよし、とあるのを見つけて早速実行。目を閉じた後も我慢して抱っこし続けていると、たしかに体が重くなる瞬間がありました!センサーが作動する時は、まだ体が起きているのかもしれません。今日も赤子が石になるまで抱っこで待つぞ~。今日のかるた「背中のセンサースイッチオン」
2016年01月06日毎日忙しく過ごす中で、子どもとお風呂にはいる時間は貴重な「スキンシップの場」とも言えますよね。子どもと向き合い、今日あったことや明日の予定をおしゃべりしながら過ごす…。そんなひとときが、ちょっとした手遊びを交えることでもっと楽しくなります。今日からでも取り入れられる“子どもが大笑いするお風呂手遊び”をご紹介しましょう。(1)片手水鉄砲両手を使い、手と手の間から鉄砲のように水を発射させる水鉄砲ですが、実は片手でもできることをご存じですか? 片手水鉄砲の基本はこの形です。 ポイントは・水色の地点から水を飛ばすことを意識する・爪先は内側に折りこまず(グーにしない)、爪が見える状態にする・小指部分から水が漏れていくのでなるべく力をいれ、水が漏れないようにするの3つです。片手水鉄砲の良いところはコントロールがききやすいことと、すぐに発射できることです。小さな子どもにはできないこともあるので、その場合は両手を使う水鉄砲のやり方を教えましょう。大人は片手水鉄砲をマスターして、鉄砲のうちあいをするのも楽しそうです。(2)東京タワー定番のお風呂遊びともいえるのが、シャンプーで髪を泡立てて逆毛をたてる「東京タワー」です。ポイントはモコモコの泡をつくること。でも手のひらだけでもこもこの泡をつくるのは意外と至難のわざですよね。そんな時は100円ショップでドレッシング容器として売っている「ドレッシングキーパー」などにボディソープとお湯をいれてふったり、洗顔用泡立てネットなどを使うとすぐにもこもこ泡ができます。またホームカラーをする際に付属ではいっているビニール製の手袋をつけて髪を泡立てると、驚くほどもこもこの泡ができあがります。ノンシリコンで泡立ちにくいと思っていたシャンプーも見事に泡立つので、ぜひ活用してみてくださいね。(3)風呂桶おなら桶を浴槽に深くしずめてもちあげるとボコッボコッと勢いよく空気の泡が発生します。これをおしりの辺りで「おなら」に見立てることで、おなら遊びができます。単純な遊びですが、わが家の息子のウケが最も良いお風呂遊びです。(4)ブクブクもぐりお湯の中にもぐって口や鼻から息を吐き出す、これまたシンプルな「ブクブクもぐり」は水の苦手なお子さんや水遊びとしてもおすすめです。目を開けなくても息を吐き出すことでブクブクと大きな音がしますし、すぐに顔をあげることもできるので恐怖感もあまりありません。大人が「こ~んに~ちわ~」などとお湯の中で言葉を話してみせ「なんて言ったかわかる?」なんてクイズにするのも楽しいです。子どもが興奮してしまうと、誤ってお湯を大量に口にしてしまうこともあるので、注意して見てあげましょう。新しいお風呂遊びを取り入れて、親子で楽しい時間を過ごしてくださいね。(すだあゆみ)
2016年01月05日子どもが将来、自分自身の力で幸せになるためには、どんな能力が必要なのか。その能力を育むために、どんな子育てをすればいいのか。発達心理学などが専門の内田先生にこれまで伺ったお話をまとめ、さらに大切なポイントを加えてご紹介します。親が「安全基地」になることで、子どもは安心して能力を伸ばせる子どもが幸せに生きるために、内田先生は次の力が大切だとおっしゃっています。●創造的想像力●自律的思考力(自分で考える力)●探究心・意欲●自尊感情(自分を大切にする力)●精神的回復力(レジリエンス)これらの力を育むために、親はどんなことをすればいいのでしょう。「子どもが伸びる、共有型しつけ(※詳しくは 子どもの学力格差は幼児期に決まる? 親の「しつけスタイル」が重要な理由 ~「幸せ力」の育て方vol.11~ )を心がけましょう。子どもの気持ちに寄り添って、とにかくかわいがってあげてください。自分を大切に思う気持ちは、親から愛されることで育ちます。それは精神的回復力につながります。子どもは親から大切に見守られ、肯定されることで『きっと、なんとかできるんじゃないか』と前向きな気持ちになり、それが探究心や意欲を伸ばすことになります」子育てに大切な3つのH「ほめる、はげます、(視野を)広げる」子どもは毎日、小さな発見や成長を積み重ねています。「兄弟や友だちと比べずに、その子自身の進歩をほめてあげてください。失敗を叱らず、子どもが進歩したときを逃さず見つけて、『ほめる、はげます、(視野を)広げる』3つのHの言葉をかける」強制型しつけを行っている親30人の様子を観察したときには、この3つの言葉が一度も発せられなかったそうです。「すべてに定義や解説を与えることはやめましょう。お母さんは辞書でもなければ裁判官でもありません。判決を下さない。禁止や命令ではなく『~したら?』と提案してあげる」それなら、子どもが考えたり判断したりする余地があります。「このように、大人が子どもの主体性を大事にした関わり方をすることによって、子どもが自分で考える自律的思考力や創造的想像力が育つのです。教育学者のグルーナーは、教育者や親が子どものためにできることは足場をかけるところまでだと言っています。その足場を登るかどうか、登って何をするか、決めるのは子ども自身です」五十の文字を覚えるよりも、百の「何だろ?」を育てたい「そもそも『頭がいい』とは、文字が書けるかどうかではありませんよね。大切なのは、文字で表現したくなるような内面の育ちです」その通りですね。では、豊かな心と知性を育むには、どうすればいいのでしょうか。「第一には、絵本の読み聞かせ習慣。小学生になった子どもには読書を勧め、親子で図書館通いをするといいですね。第二に、家族の団らん。何でも話せる雰囲気をつくり、親子で会話をたくさんしてください。第三に、遊びを通して、楽しい経験を一緒に共有すること。遊ぶことと遊ばせることとは違います。何かをさせることは強制することと同じ。そうではなく一緒に楽しんでください」ただし、ひとりで何かに熱中する時間も大切ですから、お子さんが夢中になっているときには、そっと見守ってあげることがいいそうです。これまでご紹介したことを意識して子育てをしていけば、将来、学校の授業や教材からはもちろん、遊びや家族との時間の中からも、さまざまな学びを得る力が育っていることでしょう。「子育てに『もう遅い』はありません」と内田先生は言います。今からでもいいのです。お子さんが伸び伸びと能力を伸ばし、自分の力で幸せになることができるよう見守りながら、お子さんと一緒の時間を楽しんでください。(佐々木月子)今回取材に協力してくださったのは内田 伸子先生十文字学園女子大学特任教授・お茶の水女子大学名誉教授・学術博士。専門は発達心理学、認知心理学、保育学。国立教育政策研究所「幼児の論理的思考の発達調査プロジェクト会議」(主査)、最高裁「裁判員制度の有識者会議」(委員)、文化庁国語審議会委員なども務めるほか、NHK Eテレの「おかあさんといっしょ」の番組開発やコメンテーター、ベネッセの子どもチャレンジの監修、しまじろうパペットの開発、創造力知育玩具「エポンテ」(シャチハタ)の開発なども担当。著書は、『発達心理学―ことばの獲得と教育』(岩波書店)、『よくわかる乳幼児心理学』(ミネルヴァ書房)、『 子育てに「もう遅い」はありません 』(冨山房インターナショナル)など多数。
2016年01月04日乳幼児期からスマホなどのメディアに長時間触れていると、言語発達の遅れやコミュニケーション力の低下を引き起こすと日本小児科医会が警鐘を鳴らしています。スマホやテレビ、DVDの影響について、発達心理学と認知心理学が専門の内田伸子先生にお話を伺いました。メディアの影響で知能が遅れ、脳が萎縮する!?「発達心理学者のジンマーマンやメルツォフらは、2ヵ月~24ヵ月の乳幼児を6年間追跡し、言語発達や知能について調査しました。すると、年月を追うごとに知能が遅れていく子どもたちがいました」原因は何だったのでしょうか。「知能が低下していく子どもたちには、乳幼児用の教育番組や早期知能開発のビデオを1日1時間以上視聴させられているという共通点がありました」「その子たちは、脳の言語理解をつかさどる部位、ウェルニッケ野が萎縮していました。もともとは健康に生まれた赤ちゃんたちが、親の浅はかさのために『脳の発達遅滞を引き起こさせ、特別なサポートが必要な子たちにしてしまった』(論文の表現の翻訳より)のです」メディアを拒絶した子どもたちは知能を回復できた「3歳ごろになって、知能を回復した子どもたちがいました。それは、音と光の強烈な刺激を嫌がって逃げ出したり、ビデオの操作ができるようになったので自分で止めたりした子たちでした。つまり、テレビやビデオの視聴をやめた子たちだけが、さらなる知能の低下を防ぐことができたのです」現在の日本でも、教育のためのテレビやDVDが人気で、お子さんに見せている家庭がたくさんあります。長時間の視聴はさせないよう気をつけたいですね。パソコンやスマホの影響は?文部科学省が行った「平成27年度 全国学力・学習状況調査」によると、携帯やスマホの使用時間が長いほど、子どもたちの成績が低くなっています。※1※1 参考: 文部科学省|平成27年度 全国学力・学習状況調査 報告書 【質問紙調査】3.参考資料p.145 また、東北大学と仙台市教育委員会による「学習意欲の科学的研究に関するプロジェクト」は、スマホアプリの使用時間に応じて学力が低下するという調査結果を発表しました。学力低下は平日の睡眠時間や家庭学習時間には関わらず、アプリを使ったことによる直接の効果である可能性が高いそうです。※2※2 参考: 東北大学|スマホで無料通信アプリを使用すると学力が低下することを明らかにしました 内田先生も、幼児期のパソコンやスマホの利用には注意が必要だと言っています。「コンピュータの普及によって、直接体験の機会が失われ、調べただけで理解した気持ちになることが増えています。しかし9歳頃までは、知識の操作には体験という裏打ちが必要で、頭の中だけでは操作できません。9歳を過ぎると、絵に描いたシンボルや数式、言葉だけで知識を操作できるようになります。ただし、そのためには9歳までに具体的な体験が必要です。目、耳、鼻、舌、皮膚の五官を通しての体験を積み重ねることで、自分の頭を通して物事を捕らえる力が生まれるのです。スマホやインターネットは控えめに。本当は厳禁と言いたいところですが、いろいろご事情もあるでしょう。使用時間を制限するなど、ご家庭でルールをつくってください」できるだけ、テレビやDVD、スマホに頼らない子育てを心がけていきたいですね。(佐々木月子)今回取材に協力してくださったのは内田 伸子先生十文字学園女子大学特任教授・お茶の水女子大学名誉教授・学術博士。専門は発達心理学、認知心理学、保育学。国立教育政策研究所「幼児の論理的思考の発達調査プロジェクト会議」(主査)、最高裁「裁判員制度の有識者会議」(委員)、文化庁国語審議会委員なども務めるほか、NHK Eテレの「おかあさんといっしょ」の番組開発やコメンテーター、ベネッセの子どもチャレンジの監修、しまじろうパペットの開発、創造力知育玩具「エポンテ」(シャチハタ)の開発なども担当。著書は、『発達心理学―ことばの獲得と教育』(岩波書店)、『よくわかる乳幼児心理学』(ミネルヴァ書房)、『 子育てに「もう遅い」はありません 』(冨山房インターナショナル)など多数。
2016年01月03日子どもの学力と豊かな心を育むために、絵本を読むことがいいと言われています。どんな絵本を選んで、どんな風に読んであげるのがいいのでしょうか。年齢に応じた絵本の選び方と読み聞かせ方について、発達心理学が専門の内田伸子先生に伺いました。年齢にあった絵本の選び方と読み聞かせ方「赤ちゃんには、イラストや写真が大きくハッキリしていて、色も単純なものがいいでしょう。食べ物や動物、乗り物など、身近なもので子どもの興味を引くものが描かれている絵本がおすすめです。最初のうちは絵本をめくって絵を見せるだけもよく、絵本を通した『遊び』だという感覚を大切にすることがポイントです」「かわいいニャンニャン」「ピカピカ、キレイだね」などと、解説を加えたり、擬音を楽しんだりするのもいいそうです。「3歳までは、絵本の挿絵について話すなどしてもいいでしょう。4歳になったら、絵本の言葉は吟味されていますから、それを大事に、絵本に書かれているまま読み聞かせてあげてください。5歳ぐらいになると、『大きなカブ』のような、くり返しの文章を好むようになります」年齢によって楽しみ方が少しずつ変わってくるのですね。どの年齢にも共通して大切なポイントは、お子さんのリズムに合うように、語りかけるようにして読み聞かせることだそうです。1冊の絵本をじっくり読み込むのと、たくさんの絵本を読んで多くの語彙に触れるのとどっちがいい?「語彙を得るために本を読むのではありません。本というのは、親子で手を取り合って入っていく世界なのです。親も楽しみながら、真心をこめて読んであげてください」内田先生は、絵本の持つ力について次のお話をしてくださいました。「ベッテルハイムという児童精神科医の病院に、注意欠陥・多動性障害の子どもが入院していました。遊戯療法や箱庭療法など、さまざまな治療を施しましたが、症状は軽くなりませんでした。あるとき、ベッテルハイムが絵本を持って病室に入ると、その子はパッと絵本を見ました。ベッテルハイムが『読んであげようか』と言うと、ふだんは少しもじっとしていられない子が、動かずにじっと絵を見つめお話を聞いていたのです。次の日、ベッテルハイムが来る時間が近づくと、その子は入り口を見ていました。ベッテルハイムが来ることが楽しみだったのでしょう。ベッテルハイムが来て『絵本を読んであげようか』と言うと、その子は数冊ある絵本の中からまた同じ絵本を選びました。30回くり返したそうです。30回読んであげたら、やっと次の本に興味を持った。つまり、30回かけてその本の栄養を吸収しつくしたということです。絵本には栄養があります。十分に味わわせてあげてください。子どもは何度でも『読んで』とせがみます。『昨日、読んだわよ。違うのにしましょう』ではいけないのです」子どもが求めている限り、その本を読み続けてあげるのがいいのですね。親子で絵本を楽しみながら、大切な「見えない力」と豊かな心を育んであげましょう。(佐々木月子)今回取材に協力してくださったのは内田 伸子先生十文字学園女子大学特任教授・お茶の水女子大学名誉教授・学術博士。専門は発達心理学、認知心理学、保育学。国立教育政策研究所「幼児の論理的思考の発達調査プロジェクト会議」(主査)、最高裁「裁判員制度の有識者会議」(委員)、文化庁国語審議会委員なども務めるほか、NHK Eテレの「おかあさんといっしょ」の番組開発やコメンテーター、ベネッセの子どもチャレンジの監修、しまじろうパペットの開発、創造力知育玩具「エポンテ」(シャチハタ)の開発なども担当。著書は、『発達心理学―ことばの獲得と教育』(岩波書店)、『よくわかる乳幼児心理学』(ミネルヴァ書房)、『 子育てに「もう遅い」はありません 』(冨山房インターナショナル)など多数。
2016年01月02日幼児期や学生時代に成績のよかった子どもたちは、将来、大人になってからも優秀なのでしょうか。そして実際に、大人になってからも活躍している人たちは、どんな幼児期を過ごしたのでしょうか。これらについて、発達心理学や認知心理学が専門の内田信子先生にお話を伺いました。偏差値68以上、医者や弁護士などの難関資格に合格した人たちの子ども時代「23~27歳のお子さんを持ち、しかも2人以上のお子さんを育て上げた親御さんを2,000組抽出しました。その中から、受験偏差値68以上の大学を卒業し、医者、弁護士、検事、国家公務員一種、家庭裁判所の調査官などの難関資格を取ったお子さんの親御さんに、どんな子育てを行ったのか伺いました」社会的には「エリート」と呼ばれる人たちですね。彼らがどんな子ども時代を過ごしたのか、気になる結果は次の通りです。小学校就学前にとても意識的に取り組んでいたこと●幼児期に思いきり遊ばせた●遊びの時間を子どもたちと過ごすことが多かった●絵本の読み聞かせをたくさんした●子どもの趣味や好きなことに集中して取り組ませるようにした難関校を突破した人たちは、子ども時代に思いっきり遊び、親子で一緒に楽しい時間を過ごすことが多かったようです。難関校突破組は子ども時代によく遊んだ(内田,2014より)子育てスタイルの傾向(共有型しつけ or 強制型しつけ)難関校を突破した人たちの多くは、「共有型しつけ」を受けていました。難関校突破組は共有型しつけを受けていた(内田,2014より)共有型しつけとは、親が子どもの気持ちや親子のふれあいを大切にし、一緒に楽しい時間を共有することが多い、しつけスタイルです。強制型しつけとは、親が自分の考えやルールを強制し、言葉による命令や力によって子どもをしつけるスタイルです。(詳しくは 子どもの学力格差は幼児期に決まる? 親の「しつけスタイル」が重要な理由 ~「幸せ力」の育て方vol.11~ )遊びとしつけスタイルが大切な理由 子どもの能力を伸ばす、幼稚園や保育園選びのポイント ~「幸せ力」の育て方vol.10~ でご紹介したように、遊びは子どもの能力を伸ばします。「自分の自発的な行動を、大好きな親が『面白そうだね』と共感してくれたり褒めてくれたりすると、子どもは嬉しくなり、達成感が増します。それは、小さな成功体験です。成功体験があると、難題をつきつけられても『きっと自分は解決できる』という気持ちになり、挑戦する力がわいてきます。こうして大人になるまで、自分で目標にしたことはなんとか自力で達成することを積み重ねた結果が、難関試験を突破する力に育っていったのでしょう」問題を解決したり、目標を達成したりする力は、エリートになるために限らず、子ども自身が幸せに生きるために必要な力です。子どもを思いっきり遊ばせ、共有型しつけを行い、大切な力を育んであげましょう。(佐々木月子)今回取材に協力してくださったのは内田 伸子先生十文字学園女子大学特任教授・お茶の水女子大学名誉教授・学術博士。専門は発達心理学、認知心理学、保育学。国立教育政策研究所「幼児の論理的思考の発達調査プロジェクト会議」(主査)、最高裁「裁判員制度の有識者会議」(委員)、文化庁国語審議会委員なども務めるほか、NHK Eテレの「おかあさんといっしょ」の番組開発やコメンテーター、ベネッセの子どもチャレンジの監修、しまじろうパペットの開発、創造力知育玩具「エポンテ」(シャチハタ)の開発なども担当。著書は、『発達心理学―ことばの獲得と教育』(岩波書店)、『よくわかる乳幼児心理学』(ミネルヴァ書房)、『 子育てに「もう遅い」はありません 』(冨山房インターナショナル)など多数。
2016年01月01日みなさんは、骨盤矯正を体験したことはあるだろうか?先輩ママは言う「産後は絶対骨盤を元に戻しておいた方がいいよ! 体形が戻らなくなっちゃうから」と。確かに産後の骨盤は開いており、体はゆがみやすい。授乳するたびに猫背になるし、添い乳(寝ながら授乳すること)なんてしようものならおかしな体制になり、背骨は更に歪む。毎日の抱っこで腰はどんどん痛みを増していき、産後2カ月が経ったわたしの体は、ガタガタ。あっという間に息子の体重は、生後間もない時に比べ2倍近くになっていた。そりゃあ、腰に負担が来るわけだ。今気をつけておかないと、みるみるうちに子どもは10キロ代に到達し、赤ちゃんから子どもへと成長するのだから、腰痛はますますひどくなるだろう。先輩ママのアドバイス通り、ここは骨盤を整えるべく、骨盤矯正というやつを試してみようかな。近所に住んでいる友達が評判の整骨院を紹介してくれた。保険適応外なので、少々高くつくけれど、効果覿面なのでおすすめだと言う。聞けば、赤ちゃん同伴でも問題なし。1回20分程度で5,000円程度かかると言う。しかも、最初の数カ月は毎週通わなくてはならないとのこと。「うーん、割と高いな…」でも、そんなに良いなら行ってみたい。彼女が通院する際、わたしも一緒に施術をお願いすることにした。その整骨院は世田谷のマンションの一室にあり、男の先生がたった一人で営業している。完全予約制でドアを開けると、清潔感のある空間が広がり、無駄なものが何一つとしてない。「こんにちは!」威勢の良い声で先生が出迎えてくれた。お?想像していた硬派な感じのイメージと異なり、先生はまさにサーファーのような装いだった。ぱっちりとした二重、浅黒い肌、筋肉隆々、そしてゆるやかなパーマのかかったヘアスタイル。おそらく40代であろう。どうやってみても、整骨院の先生ではない。この人がわたしの腰痛を治せるのだろうか?友達が言うには、通院しなくなった途端、調子が悪くなる。とのことで、どんなゆがみも直せる素晴らしい先生だと言う。さっそく先生に診てもらうことになり、診察ベッドに横になる。道具を一切使わずに、体のゆがみを全身を使って整えていく。施術が終わったころには、さっきまで手の届かなかった場所に手が届いたり、硬直した筋肉がしなやかになり、痛みの強かった場所は少し和らいでいるような気がした。おぉ、これはすごい!紹介してくれた友人に感謝をしてその日は無事初診を終えた。「これは続けたらきっと効果があるだろう! 腰痛も和らいでいくに違いない。スタイルも良くなったりして! あはは~」。そして、翌週受診日を迎えた。その時はまだ、あんなことになろうとは思いもしなかった…。先週に引き続き、痛みを和らげるため少しずつ筋肉を延ばしていく。ずれてしまった骨の位置を整えるために、先生は親指の力で骨にプレッシャーをかけていく。うぐぐぐぐ…。なんだか今回はちょっと痛みが強いな。きっと効いている証拠だ…。そんなことを考えながら、施術は続く。ちょうど腰の下、おしりの両側の筋肉を先生はまたしてもプッシュ! プッシュ!!!激痛が走る!!「うおおおおおお痛い~! 痛いです、せんせえ、痛い」それでも先生は止まらない。「うぉぉぉぉぉぉぉ~、はがががががあああぁぁぁあ 痛い!! 痛いぃぃぃ!!!!その声に息子も驚いたのか泣き出してしまいわたしの叫びと、息子の大きな鳴き声で部屋中が不協和音に包まれた!強烈な激痛と戦い抜いて、その日の施術は終わった。「はぁ!はぁ!」先生も全身の力を注いだのか、額に汗をかいていた。「いや~かなり筋肉が固まってますね!」と、先生。「ありがとうございました……」。よくぞ、痛みに耐えたぞ! 自分を励ましつつ、お尻を抑えながら家路に着いた。夜になり、息子をお風呂に入れようと脱衣所で服を脱ぎ、シャワーを浴びる。そして、鏡に映った自分の姿を見て唖然とする。どうりで痛いと思った!!!お尻にきれいな青タンが2つくっきりと出来ているではないか!あぁ、なんということだ。31歳、母になって、息子と同じ蒙古斑のような青タンができるとは…。こうしてわたしは骨盤矯正を途中で断念し、未だ腰痛に悩まされるのであった。トホホ…。(Boojil)つづく次回は「お父さんはどっち?夫が双子による問題」
2015年12月31日テレビと現実の違いを判断できる子に必要なこと の続きです。本連載もいよいよ最終回。今回は、「どうしたらメディアの情報に振り回されない子どもに育てられるか」についてお話ししましょう。テレビからの情報を鵜呑みにさせないために今まで見てきたように、テレビはウソではないけれど、情報をうまく利用しているという側面を持っています。そうした面に関して、最近は批判も出てきています。たとえば、子役のタレントや俳優を利用して、テレビを見ている子どもたちに、むやみにあこがれを抱かせるのはどうなのかという意見があります。芸能人として小さな頃からスポットライトを浴びることがすべて悪いとは言いませんが、中学生や高校生ぐらいの大事な時期に、テレビなどにずっと出演しているのを見ると、中には「学校や勉強は大丈夫なんだろうか」と心配になってくる人もいるでしょう。勉強ができることや高い学歴があることが人生を決定づける世の中でもなくなってきていますし、そもそもよその家庭のことなので、そこをとやかく言うのは余計なお世話かもしれませんが、テレビを通じてそうした子役タレントを見ていると、数年後にどうなっているのかが心配になってくるという意見は少なくないようです。また、そうしてスポットライトの中心に立てていらればまだしも、その後ろには数多くのそうでない子どもたちがいます。幼いうちからアイドルになるためにオーディションを何度も何度も受けている子どもの話や、アイドルのやることなすことを次から次へと盲目的にまねすることに熱中しているような子どもの話を聞くと、そうした子どもは将来どうなってしまうのかと、やはり心配になります。なぜなら、自分で情報を選択するすべを知らないように思えるからです。親自身が情報を鵜呑みにしていないか、問いかけ直してみよう現代は高度に情報化が進展している社会です。必要な情報を早く的確に得て、それを利用することが必要不可欠な世の中になっています。そういう社会であるからこそ、情報の洪水の中から必要な情報をより分け、正しい形で選び取ることが大事になってきますし、得た情報を鵜呑みにするのではなく、自分なりに分析検討できる能力が重要になってきています。情報に接した時に、それに対して批判や検討を加えることもなく、ただ鵜呑みにするような癖が付いてしまうと、何かあった時に自分で判断を下す能力が育たなくなってしまうおそれもあるでしょう。最終的には情報に押し流され、流行にのせられてうまく操られてしまったり、本来の自分というものを見失ったりすることにもつながりかねません。当然ながら子どもたちには、こうした情報の取捨選択について経験が不足しています。このため、情報をどのように取り入れ、それに批判を加えて自分なりの見方を確立するかということを親は子どもに教える必要があります。そのためには親が情報の取捨選択をできなければなりません。まずは親自身が情報媒体の言うことを鵜呑みしていないかどうか自身に問いかけ直してみることが必要になってくるでしょう。(子育ての達人)
2015年12月31日知らず知らずのうちに行っている子どもへの「しつけ」によって、子どもの能力に大きな差が出てしまうことがわかりました。発達心理学が専門の内田伸子先生に、詳しく説明していただきました。しつけスタイルは大きく2種類●共有型しつけ子どもの気持ちを中心に考え、子どもとのふれあいや会話を大切にし、楽しい経験を子どもと共有しようとする、しつけスタイル。●強制型しつけ大人中心で、言いつけ通りに子どもを従わせようとする、しつけスタイル。罰を与えたり、力によるしつけを行ったりすることもある。似たような家庭環境で、しつけスタイルだけが違うとどうなるのか「年収900万円以上の高所得層で、母親が四年制大学あるいは大学院を卒業し、現在は専業主婦をしている家庭の中から、共有型しつけと強制型しつけの極端な例を30組ずつ計60世帯選び、親子のやりとりを観察しました。すると、図形を組み合わせるブロックパズル課題で、こんな場面が見られました。共有型しつけを行っているお母さんは、お子さんをじっと見守っています。一方、強制型しつけを行っているお母さんは、何かと口を出し、指図します。子どもがパズルをやろうとすると、『そっちは難しいわよ。こっちからにしなさい』『左右の色を同じにしたらキレイでしょう』などと言うのです。また『きつねのおきゃくさま』という絵本の読み聞かせにおいても、違いが見られました。『きつねのおきゃくさま』は、優しいきつねがほかの動物たちを守るために死んでしまうお話です。共有型しつけを行っているお母さん方は、子どもがどんな反応をするかと子どもの顔を心配そうに見ています。子どもは『きつねさん、どうして死んじゃったの? あんなに親切なのにかわいそう』などと言います。それを受けてお母さんは『そうね、かわいそうね』と共感的なサポートをします。一方、強制型しつけを行っている母親は『はい。今のお話はどういうお話だった? 言ってごらん』、子どもが答えると『違うでしょ。お話の記憶、テストに出るわよ』などと勝ち負けの言葉を投げ付けます」強制型しつけのもとでは、高所得層であっても語彙得点・リテラシーともに低い「この子どもたちの学力を調査したところ、共有型しつけを受けている子どもは語彙得点、リテラシー(読み書き能力)ともに高く、強制型しつけを受けている子どもは語彙得点もリテラシーも低かったのです」しつけスタイルと語彙力は関連する(内田・浜野,2012より)なぜ、しつけスタイルが学力に影響するのでしょうか。「子どもの学力を高めるためには、お父さんやお母さん、保育者たちが、子どもの主体性を大事にするかかわり方をすることが重要です。共有型しつけをしている親は、こどもに考える余地を与える援助的なサポートが多く、子どもをよく褒め、子どもに合わせて柔軟な対応をしていました。そうした親のもとで、子どもは伸び伸びと活動していました」 叱られながらやる勉強はなぜ身に付かないのか ~「幸せ力」の育て方vol.6~ でご紹介したように、自分から興味を持ち、楽しいと感じているときは脳の働きが活発になります。「強制型しつけは逆に、子どもに考える余地を与えない、指示的・独断的な介入が多い、しかも過度に介入する、情緒的なサポートが少ない、褒め言葉が少ないという特徴がありました。こうした親のもとでは、子どもは主体的に行動することができず、親の顔色を見ながらおどおどと行動していました」これでは脳の働きが低下するうえ、言われたことしかできない「指示待ち族」になる危険性があります。しつけスタイルは母親の思いひとつで変えることができます。子どもが伸びる共有型しつけを心がけていきたいですね。(佐々木月子)今回取材に協力してくださったのは内田 伸子先生十文字学園女子大学特任教授・お茶の水女子大学名誉教授・学術博士。専門は発達心理学、認知心理学、保育学。国立教育政策研究所「幼児の論理的思考の発達調査プロジェクト会議」(主査)、最高裁「裁判員制度の有識者会議」(委員)、文化庁国語審議会委員なども務めるほか、NHK Eテレの「おかあさんといっしょ」の番組開発やコメンテーター、ベネッセの子どもチャレンジの監修、しまじろうパペットの開発、創造力知育玩具「エポンテ」(シャチハタ)の開発なども担当。著書は、『発達心理学―ことばの獲得と教育』(岩波書店)、『よくわかる乳幼児心理学』(ミネルヴァ書房)、『 子育てに「もう遅い」はありません 』(冨山房インターナショナル)など多数。
2015年12月31日気がつけば2015年も残りわずか。皆さんはどのような1年を過ごされたでしょうか。私自身は第二子の出産、実父の逝去と大きな出来事が2つあり、人の生死について考えることが多かった1年でした。こんな出来事があっても、年々早くなる時の流れにくさびを打ち込むことはできないんだ…としんみり感じ入る年の瀬です。(実際はイラスト描いたり赤子に乳をやったり上の子のトイレに付き合ったりする間にしんみりしております)自分にとってはあっという間の1年でも、今年の1月に産まれた赤子にとってはまさに進化の1年。ほとんど目も見えず、泣いて乳を飲んで寝て…の繰り返しだった新生児から、乳以外のものを食べ、床に落ちている小さなゴミを拾い、自力で移動できるようになったのですから、すごい成長です。そういえば、先日実家で見たアルバムには、母の字で「バックでハイハイするのが得意」という一文が添えられた赤ちゃん(私)の写真が貼られていました。それはまさしく数ヵ月前の我が子の姿。腹ばいになって動こうとするものの、手足の力のバランスが取れず、後ろにジリジリと進んでしまう赤ちゃんの姿を思わず写真に収めた母の気持ち、今ならよくわかります。母の視線は今の私の視線であり、おそらく人が子どもを産み育てるたびに投げかけられる、人類共通の眼差しなのでしょう。生まれてくる赤ちゃんを慈しみ、その成長を見守るという営みが、どうか途絶えることのない世界であってほしい…。オムツを替えながら、また想いに耽る年の瀬でした。今日のかるた「進みたいのに遠ざかる」
2015年12月30日大切なのは、テレビの戦略に振り回されないこと の続きです。前回は「テレビをはじめとした情報媒体が出す情報を鵜呑みにし、必要以上に振り回されることがないよう、子どもを見守る親としては気をつける必要がある」ということをお話ししました。今回はそれを受けて、「テレビと現実の違いを判断できる子に必要なこと」について解説します。テレビと現実を冷静に判断できる子どもに育てよう現在、テレビ、ラジオ、雑誌、新聞、そしてWebも含めたメディアのほとんどにおいて、広告が欠かせない存在になっていることはたしかです。テレビを見ていても、日々たくさんのCMが目に入ってきます。それらを見て、たとえば幼い子が影響され、テレビアニメのヒーロー・ヒロインのポーズをまねしたり、テレビアイドルの物まねをして歌ったりというのは、見ていてほほえましく感じられるのではないでしょうか。しかしながら、そうした幼い頃であればともかく、小学校の高学年になってまでテレビの影響をもろに受けているような子どもは少し心配だと考えられています。というのも、子どもがテレビの影響をもろに受けるということは、そうしたメディアに晒されている時間が長すぎるおそれがあるからです。それ以外にも、現在の自分に対して不満を抱いていたり、家族に愛されておらず本当の自分を認めてもらっていないと感じていたりするような場合にも、こうした傾向が見られることがあります。「ありのままの自分でいい」と認識することで、テレビと現実を区別できるようになるとはいえ、テレビをはじめとする情報媒体が出す情報に踊らされた経験がまったくないという人はいないでしょう。現代人であれば、誰しも一度ぐらいは騙された経験があるはずです。こうした情報媒体には、実際には皆が共通して持っていないようなものや概念といったものを、あたかも共有しているかのごとく見せてしまうという性質があります。そして、「多くの人々と何か1つのことを共通して持っている」という感覚は、現実の生活に充足感を持っていなかったり、心に寂しさを抱えたりしているような人間をあっさりと虜(とりこ)にする傾向が強いものです。心理学的な一例を挙げると、・自分の今のあり方にどこかで疑問を持ち、こんなはずじゃなかった感をくすぶらせている女性たちが韓流ドラマにハマる・友だち関係がうまくいかない子どもがアイドルグループにハマる・ストレスを溜めた男性たちがワールドカップの時だけ熱烈に応援運動をするといった具合です。ありのままの自分でいい、ときちんと感じていれば、子どもはこうした情報媒体からの同調圧力に引きずられることはありません。テレビの中で起きていることと現実の自分とは違っているけど、それでもいいんだとしっかりと感じることができるからです。テレビが流行をけたたましく宣伝していても、それを冷静に受け止めて、「自分には関係ない」と判断することができますし、同じぐらいの年齢の子どもがテレビで脚光を浴びているのを見ても、自分もそうなりたいと盲目的に思い込むようなこともありません。次回はいよいよ、皆さんがもっとも知りたいであろう「テレビの情報を鵜呑みにしない子に育てるにはどうしたらよいのか?」についてお話しします。(子育ての達人)
2015年12月30日前回 、幼稚園や保育園の保育形態の違いが、子どもの学力格差につながるという話をしました。さらに、保育形態の違いは、運動能力にまで影響を及ぼしてしまうのだそうです。保育形態の違いによって学力や運動能力に差が出てしまうのはなぜか、発達心理学や保育学が専門の内田伸子先生にお話を伺いました。幼児期に運動指導を受けている子どもは、かえって運動能力が低い「東京学芸大学の杉原隆先生が、全国9,000名3~5歳の子どもを対象に、運動能力に関する調査を実施しました。すると、体育の時間を設けている幼稚園や保育園に通っている子どものほうが、子どもの自主性や主体的な遊びを大切にしている子ども中心の保育の幼稚園や保育園に通っている子どもたちよりも運動能力が低いという結果になりました。さらに、運動の指導を受けている子どもたちは、運動嫌いになっていることが多かったのです」運動指導を受けることで、かえって運動能力が下がってしまうとは、驚きの事実です。なぜ、そんなことになってしまうのでしょうか。「特定の部位を動かす運動をまるで強制的なトレーニングのようにくり返していると、それ以外の動きをする機会を失います。さらに、運動のための説明を聞いている時間が長く、肝心の動き回る時間が少なくなっていることも問題です。また、トレーニングのように行う運動は面白くありませんから、子どもは飽きてしまいます。またこのトレーニングについていけない子どもはつらくなり、落ちこぼれてしまうのです。そのうえ、子どもは5歳ころになると、『展示ルール』が確立されてきます。展示ルールとは、他者の気持ちを考えて自分のふるまいを決めるルールのことです。つまり他人の目を気にしはじめるのです。すると、友だちより自分ができないことは嫌だと思うようになります。そして、運動嫌いになってしまうのです」運動能力を高め、運動を好きになる方法「運動能力を高めるために大切なことは、自由遊びです。子どもは遊びを通して、走ったり、登ったり、運んだり、自由にたくさんの種類の運動を経験します。それが運動能力を高めることにつながるのです。体を使って楽しく遊べるよう、ときどき保育者が誘ってあげるといいですね。たとえば、あひるさんになって向こうまで行こうとか、踏み台を使って高いところにあるものを取るのを手伝うとか」それなら運動を楽しみながら、運動能力を伸ばしていけますね。運動神経と学力を伸ばすポイントは「自由保育」「この調査結果から、杉原先生は、遊びを大切にする自由保育(※1)がいいとおっしゃっています。私たちが行った子どもの学力に関する研究結果もまったく同じでした。自由保育を行っている幼稚園や保育園に通っている子どもの語彙得点は非常に高く、一斉保育(※2)を行っている幼稚園や保育園に通っている子どもの語彙得点は低く、その差は年齢が高くなるほど開いていくことがわかっています。(詳しくは 前回の記事 をご覧ください)」(※1) 自由保育とは:自由遊びの時間が長く、子どもが主体となって自発的にやりたいことに取り組む、子ども中心の保育形態のこと。放任とは違い、子どもの自主性を尊重しつつも、幼児期に学んでほしい目標や狙いを達成できるよう保育士が誘導する。国立大学附属幼稚園や公立幼稚園や私立幼稚園の一部、社会福祉法人の保育所では子ども中心の保育であり、子どもたちは好きな遊びに主体的に取り組み保育者は援助者として子どもの学びに寄り添い、子どもが困っているとき助けてあげる「わき役」である。(※2) 一斉保育とは:全員に同じこと(体育や音楽、お絵かきなど)をさせる、カリキュラム中心の保育形態のこと。小学1年生の準備教育や英会話などを取り入れ、体操選手をつくるということなどを教育目標にかかげる私立幼稚園や私立保育園の一部にみられる。 遊びを通して子どもは学習するのですね。「そういうことです。幼児にとって遊びとは『自発的活動』であり、頭がイキイキと活発に働いている状態です。扁桃体が快感状態にあるので、吸収力が大きくなるのです」考える力と運動能力を高められるよう、子どもをたくさん遊ばせてあげましょう。(佐々木月子)今回取材に協力してくださったのは内田 伸子先生十文字学園女子大学特任教授・お茶の水女子大学名誉教授・学術博士。専門は発達心理学、認知心理学、保育学。国立教育政策研究所「幼児の論理的思考の発達調査プロジェクト会議」(主査)、最高裁「裁判員制度の有識者会議」(委員)、文化庁国語審議会委員なども務めるほか、NHK Eテレの「おかあさんといっしょ」の番組開発やコメンテーター、ベネッセの子どもチャレンジの監修、しまじろうパペットの開発、創造力知育玩具「エポンテ」(シャチハタ)の開発なども担当。著書は、『発達心理学―ことばの獲得と教育』(岩波書店)、『よくわかる乳幼児心理学』(ミネルヴァ書房)、『 子育てに「もう遅い」はありません 』(冨山房インターナショナル)など多数。
2015年12月30日みなさんは、お子さんがお友達をつくる力について気になったことはありませんか?「うちの子は、内弁慶。家では、言いたいこと言っているけど、幼稚園や保育園・学校では、ほとんど友だちがいないし、自分からも話しかけていない」「なんだか、友だちから言われっぱなしで、自分の思っていることは、言葉にできていない気がする」そんなふうに、お子さんの友人づくりの力について心配しているお母さんは少なくありません。子どもたちの約8割は、小3になり自然と「ふつうに友だちをつくることができる子」になっていくのですが、2割くらいは、小学校や中学校で不登校になってしまうのです。では、どうすればいいか。答えは一つ。できるだけ、早いうちから、同世代や少し上の子どもたちとの遊ぶ関係を体験する機会をつくっていくことです。私たちカウンセラーのもとに、不登校になってやってくる子どもは、「大人とは仲良くなれるけど、同じくらいの子ども同士の関係は苦手」という子が圧倒的に多いからです。しかし、「同じ年や少し上の子どもと遊ぶ体験」をつくる機会をつくりたくても、なかなかつくれない、と多くのお母さんは、悩みます。そして、そんな「同じ年や少し上の子どもと遊ぶ体験」を与える貴重なチャンスが、お正月にやってくるのです。兄妹の少ない今、いとこと関わることは人間関係を育てるのに最適な環境です。私の娘もそうでした。2歳のころ、福岡の実家に帰省した際、少し上のお姉さん、お兄さんと遊んでもらっているうちに、わずか2、3日のあいだに、娘のボキャブラリーが驚くほど、増えたのです。それまで、単語をいくつか並べることが多かったのが、「~はね、~なのよ」と主語と述語を明確にして話すことが途端に増えたのです。こんな短期間のうちに、これほど、手に取るように、子どもの発達の様子がわかることはめったにないので、さすがに驚きました。いとこのお姉ちゃんとの会話の中で、お姉ちゃんたちがよく使っていた表現を模倣して身につけたのでしょう。おそらく、同じように保育園で少し上の子どもたちとのかかわることで、娘はいろいろなことを学んでいることでしょう。子どもの数の都合で、娘はある年、「数カ月から1才年上の子ども」たちといっしょのクラスになって、毎日を過ごしています。この「少しだけ上の子どもと遊ぶ体験というのが、子どもの知的発達にとって大きな効果があることが発達心理学の成果として言われています。知的発達ばかりではありません。社会性の面「少しだけ上の段階」にある子どもとのやりとりが刺激となって、発達がワンステップ上昇していくのだと、発達心理学では、考えています。「少しだけ年上の子どもたちといっしょに生活体験を重ねる」ことが、子どもにとって最大の成長の機会になります。年齢の近い兄弟姉妹がいる時、弟や妹のほうが、言葉の習得も社会性の獲得も早いとよく言われることがありますが、あれも、理に適ったことです。オリンピックでメダルをとる選手にも、第一子よりも第二子や第三子が多いのです。それも、お兄ちゃん、お姉ちゃんを見ているからかもしれません。忙しい毎日。正月に、地方の実家に帰省するのも面倒くさいという方もいるかもしれません。しかし、私たち自身の子ども時代を振り返ってみると、どうでしょう。盆や正月を父や母の実家で過ごし、全国から集まってくるいとこたちと遊んだのが、何か、とても大切で、懐かしい思い出になっている方も少なくないのではないでしょうか。さらに、いとこたちとの遊びを絶えずあたたかく見守ってくれる祖父母や叔父、叔母など、大勢の大人たちに支えられ、見守られている感覚を持つことができたことも、私の子どもの折の成長にとって大きな意味を持っていたように思います。正月だけに限らず、「少しうえのいとこと遊ぶ体験」は、大きな成長のチャンスになります。その体験が、将来不登校になるのを防ぎ、友人作りや恋愛、結婚、職場での人間関係作りなどに、たいへん役に立つのです!(諸富祥彦)
2015年12月29日テレビは有害? それとも無害? の続きです。「テレビは情報を伝える媒体だが、同時にテレビを放送することで収益が出ないとテレビ局としては成立しない。そのため、都合がいい情報を流すという側面があり、テレビの内容を鵜呑みにせず、吟味する力も必要」ということを前回お話ししました。今回は、テレビの戦略の事例を見て、テレビに振り回されないようにするための知識をつけましょう。テレビの情報操作(戦略)の一例を見てみよう派手な富裕層を指して「セレブ」などともてはやすことがあります。テレビでもセレブの豪邸を紹介したり、派手な暮らしぶりを放送したりといったことがよく行われています。そして、そんなセレブになることこそが人生の一番の目的であるかのような情報を流したりします。テレビがこういった番組を作って情報を発信するのにはきちんとした狙いがあります。たとえば、そうした「『セレブ』が使っている商品を売りたいスポンサー」の意向を汲んだ番組構成をしている場合です。これは、テレビの特性を活かしてセレブへのあこがれをあおり、その人が使っている商品を買わせようとする試みです。単なる販売促進活動に過ぎず何ら違法性はありませんが、それでもテレビの番組がそういったことをある程度狙っているのではないかと意識しておくことは大切です。こういう場合、実際に最初から「セレブ」と言われている層があり、その事実をテレビなどが取材して情報発信しているというよりも、テレビがそうやってそこに焦点を当てて「セレブ」をリピートしたことによって「セレブ」という層が生まれてきた、というような側面もあります。そうしたカラクリに気づかずにテレビから発信される情報を鵜呑みにしてしまうと、現在そういった派手で裕福な暮らしをしていない自分や家族、あるいは両親が、みずからをいわゆる「負け組」なんだと思い込むことが起きてくるかもしれません。あるいは、自分もそうしたセレブたちに近づこうとして高価な品物を買い集めたり、裕福な暮らしをするためお金を儲けようとして借金までして株に手を出したりといったことをするようになるかもしれません。テレビをはじめとした情報媒体が出す情報を鵜呑みにし、それに基づいて行動してしまうと、見事に操られてしまうことになります。メディアから発信されている情報には、送り手の意図が必ず潜んでいます。ですからテレビの画面でなんらかの情報が紹介された時には、見たままを信じこむのではなく、実際とはどこか何かが違っているかもしれない、という意識を常に持っておくことが必要と言えるでしょう。こうした意識を持ってメディアに接するのは、大人でも案外難しいものです。これが子どもであれば、さらに難しくなります。華やかな芸能界などにあこがれを持ちやすい傾向のある子どもは、特に注意したほうがいいでしょう。最近では「庶民派」などと称して、さほど特別そうにも見えない若い女の子が芸能界でスポットライトを浴びたりする場合があります。そういう例を見せられれば、自分だって機会さえあれば、と子どもたちが思い込んでしまったとしても責められないのではないでしょうか。このようなかたちで、子どもたちを含め発信される情報に、必要以上に振り回されることがないよう、子どもを見守る親としては気をつける必要があるのです。ところで、そのようにテレビの情報を鵜呑みにせず、テレビと現実との違いを冷静に判断できる力を持つために大切なこととは、一体何なのでしょう。それについては、次回ご紹介します。(子育ての達人)
2015年12月29日2010年7月、文部科学省の幼稚園課が気になる調査結果を公表しました。「幼稚園卒の子どものほうが、保育園卒の子どもよりも、学力テストの成績が高い」というものです。本当でしょうか? 本当だとしたら、なぜでしょうか?この発表を受けて、発達心理学や保育学が専門の内田伸子先生が詳しい調査を行いました。親の経済格差が子どもの学力格差につながる?文部科学省の発表に対し、一部で「学力格差は経済格差を反映している。保育園に通わせる家庭は低所得者が多いため、学力も低いのではないか」という意見が出されました。そこで内田先生は、経済格差が子どもの発達や親子のコミュニケーションにどのような影響をもたらしているのか、日本、韓国、中国、ベトナム、モンゴルにて各国の3~5歳児3,000名を対象に調査しました。「日本では、世帯所得が700万円以上を高所得、700万円未満を低所得とし、子どもの『読み書き能力』を比較しました。その結果、文字を書く能力、読む能力のどちらにも、親の経済力による差はありませんでした」子どもの教育に配慮している家庭の子どもは、語彙が豊富「ただし、知能テストと相関が高い『絵画語彙検査』では、所得の高い家庭の子どものほうが成績が高いという結果になりました」「絵画語彙検査」とは、絵を見せ、その絵が示す言葉を知っているか尋ねるテストです。語彙の豊かさは知能と相関しているので、語彙の多い子ほど知能が高いと言われています。「所得が高い家庭は子どもに習い事をさせていることが多いので、それが影響しているのではないかと思い、調べました。すると、習い事をしている子のほうが、していない子より絵画語彙検査の得点が高いという結果がでました。ただし、運動系の習い事をしている子と、学習系の習い事をしている子の間に成績の差はありませんでした」ということは、習い事の内容が知能を高めているわけではないようです。習い事によって、友だちや先生などとコミュニケーションを取る機会が増えるため、語彙も増えるのではないかと推察されます。「自由保育」の幼稚園や保育園に通っている子どもは学力が高いさらに、保育形態によって子どもの語彙得点に大きな差があることがわかりました。「自由保育(※1)で、子ども中心の保育を行い、自由遊びの時間が長い幼稚園や保育園に通っている子どもの語彙得点が非常に高かったのです。反対に、一斉保育(※2)で、小学校一年生の授業を先取りして準備教育を行っている幼稚園や保育園に通っている子どもは得点が低い結果となりました。しかも、子どもの年齢が高くなるほどその差が開いていきました。幼稚園か保育園かは、まったく関係がありませんでした。韓国、ベトナム、モンゴルでの調査も同じ結果でした。唯一、中国は保育園での一斉保育しかないので、比較ができませんでした」 (※1) 自由保育とは:自由遊びの時間が長く、子どもが主体となって自発的にやりたいことに取り組む、子ども中心の保育形態のこと。放任とは違い、子どもの自主性を尊重しつつも、幼児期に学んでほしい目標や狙いを達成できるよう保育士が誘導する。国立大学附属幼稚園や公立幼稚園や私立幼稚園の一部、社会福祉法人の保育所では子ども中心の保育であり、子どもたちは好きな遊びに主体的に取り組み保育者は援助者として子どもの学びに寄り添い、子どもが困っているとき助けてあげる「わき役」である。(※2) 一斉保育とは:全員に同じこと(体育や音楽、お絵かきなど)をさせる、カリキュラム中心の保育形態のこと。小学1年生の準備教育や英会話などを取り入れ、体操選手をつくるということなどを教育目標にかかげる私立幼稚園や私立保育園の一部にみられる。園種より保育形態が語彙力と関連する(内田・浜野,2012より)「文部科学省の調査の対象となった国立大学付属幼稚園はすべて自由保育を行っています」つまり、子どもの学力格差は幼稚園と保育園の違いによるものではなく、自由保育か一斉保育かの違いによるものだったのです。保育形態の違いによって差が出てしまうのはなぜなのか、次回の記事で詳しくお伝えします。(佐々木月子)今回取材に協力してくださったのは内田 伸子先生十文字学園女子大学特任教授・お茶の水女子大学名誉教授・学術博士。専門は発達心理学、認知心理学、保育学。国立教育政策研究所「幼児の論理的思考の発達調査プロジェクト会議」(主査)、最高裁「裁判員制度の有識者会議」(委員)、文化庁国語審議会委員なども務めるほか、NHK Eテレの「おかあさんといっしょ」の番組開発やコメンテーター、ベネッセの子どもチャレンジの監修、しまじろうパペットの開発、創造力知育玩具「エポンテ」(シャチハタ)の開発なども担当。著書は、『発達心理学―ことばの獲得と教育』(岩波書店)、『よくわかる乳幼児心理学』(ミネルヴァ書房)、『 子育てに「もう遅い」はありません 』(冨山房インターナショナル)など多数。
2015年12月29日働くママにとって、本当に頼りになる保育園。毎日の保育はもちろん、季節ごとの行事や、食育への取り組みなど、おうちではなかなかできないことにも時間をかけてくれて、ありがたいかぎり。子どもが元気で楽しく過ごせる保育園があるからこそ、ママが安心して働けるんですよね。でも、そこで働く先生たちは、働く環境としての保育園に不満を抱いていることも少なくありません。なかには、保育士を辞めたいと思いながら働いている人もいるんです。保育士・幼稚園教員の3人に2人が「今の園を辞めたい」日本最大級の幼稚園・保育園口コミサイト「幼稚園・保育園こだわりナビ」を運営する株式会社うるるでは、先頃、全国在住20~30代の現役保育士・幼稚園教員102名を対象にした「保育園・幼稚園の待遇に関する意識調査」を行いました。それによると、「このままずっと同じ保育園・幼稚園で働き続けたい」と答えた人は全体のわずか31.4%。つまり、約3人に2人は、別の園への転職や、保育士や幼稚園教員のキャリアを辞めることを希望していることがわかりました。現在の待遇に満足できず、なんとかして現状を変えたいと思っている人がとても多いのです。望む暮らしのためには「月収が10万円足りない」今の園を辞めたいと思った理由として、もっとも多かったのは「低い給与」でした。今回の調査で「ほかの業種と比べて収入に不足感を感じている人」は、実に全体の96.1%にのぼりました。また、「月収があとどれくらいあったら、あなたの望む暮らしができますか?」という問いには、53.9%の人が「あと5~10万円未満は必要」だと答えています。10万円という金額だけ見ると、「先生たちが高望みしすぎているのでは?」と思う人もいるかもしれませんが、回答者の47.1%が年収200万円未満。ちなみに回答者の76.5%が保育士でした。ちなみに全国的にみても保育士の平均月収は、34.7歳で21万円(※平成26年度厚生労働省賃金構造基本統計調査)。これを見ると「10万円足りない」というのは決して高すぎる金額ではなく、現実的な数字なのだろうと思います。辞めたい理由としては、ほかに「取りづらいお休み」(39.2%)、「人手不足による業務過多」(26.5%)、「長い勤務時間」(20.6%)など、働く環境や待遇に関する不満が上位を占めました。なかには「自分の子どもがいても時短勤務もできない」という切実な声もありました。命を預かる仕事に、待遇改善を保育士や幼稚園教員の仕事はけっして楽なものではないと思います。子どもたちの命を預かっているのですから、さまざまな事態に迅速に対応できる能力や強い責任感が求められます。そうした仕事に見合う対価が、本来は支払われるべきなのでしょう。それでも、先生たちが働き続けているのは、仕事にやりがいを感じてくれているから。今回の調査でも、「子どもの成長が見れる」(77.5%)、「子どもが好きで関われる」(53.9%)といったことにやりがいを感じるという声が多く挙げられました。個人的にも、日々強いプロ意識をもって、子どもたちと向き合ってくれている先生方には、感謝の気持ちでいっぱいです。だからこそ、その先生たちが労働条件で悩んでいるとしたら、預ける側からすると申し訳ないし、複雑な思いがします。待機児童問題の背景には、保育士の待遇の低さもあるといわれています。子どもを持つ親として、そして保育園に子どもを預ける親の一人として、きちんと目を向けていかなければいかない問題なのだと改めて感じています。(古屋江美子)情報提供元:株式会社うるる日本最大級の幼稚園・保育園口コミサイト「 幼稚園・保育園こだわりナビ (園ナビ)」を運営。2015年12月より保育士・幼稚園教員の求人情報に特化したスマホの人材紹介サービス「 園ナビ求人 」もスタート。スマホで会員登録から検索、求人応募までできる。
2015年12月28日年の瀬も迫ってきました。今年1年、元気に頑張ったママ、パパ、子どもたちと一緒に、家族みんなでよい新年を迎えたいものですね。お正月、年神様をお迎えするための料理が「おせち料理」です。料理ひとつひとつに縁起の良い意味があり、新しい一年が息災で、幸多くあるようにとの願いが込められています。手作り+市販品をうまく使って、手作りおせちにチャレンジ海老や数の子、黒豆、田作り、たたきごぼうなど、代表的なもの以外にも、おせち料理の種類は20~30もあると言われるそうです。それぞれの地域によって伝統的な料理もあるかもしれません。でも、子どもたちにとっては、少し食べづらいメニューが多いもの。特に小さなお子さんのいるおうちでは、あまりしきたりにとらわれず、一緒に楽しく食べられるおせち料理を作ってみましょう!ひと品ひと品をお家で手作りするのも、もちろん素晴らしいですが、子どもと一緒に作れそうなメニューを一つ二つ手作りして、あとは市販のものをうまく利用するのでも十分です。手作りだからできる、子どもの好きなメニューをおせちにポイントは、子どもたちの好きなメニューをうまく取り入れてあげること。たとえば、海老は姿煮ではなく、海老グラタンや海老しんじょうにしたり、ハンバーグを小さく焼いて入れたりしても、豪華なおせちになります。ほかにも紅白かまぼこではなく、キャラクターの柄のかまぼこを使う、「多幸」につながる縁起物の「タコ」にちなんでタコさんウインナーにを入れるなど、いろいろなアイデアで、子どもたちも喜ぶおせち料理にしてみてはいかがでしょう?また、定番の品でも、黒豆やだて巻き、きんとん、紅白なますなどは、子どもも食べやすいメニューです。おせちは、保存がきくようにやや濃い目の味付けにすることが多いですが、塩分や砂糖は少し控えめにしてあげられたらいいですね。手間でもお重に詰めて用意しようそして、もうひとつ。少し手間がかかりますが、きちんとお重に詰めて用意するのがオススメ!重箱には「めでたさが重なる」という意味が込められています。お重の中に色鮮やかに詰められた料理は、やはりお正月ならではの華やかさがあり、子どもたちにも、1年の幸せを願う特別な思いが伝わるはず。大晦日には、子どもたちにお重に詰めるお手伝いをさせるのもいいですね。お料理の意味やいわれを話し伝えながら、親子でおせち作りの時間を持てたらいいなと思います。子どもも楽しめるおせち料理で、1年の始まりという特別な時間を、みんなでお祝いしましょう!(あまやゆか)
2015年12月28日生まれた時からすでにある程度、男の子と女の子の性質は決まっているようです。なぜ、違いが生まれるのでしょう。性差の秘密について、発達心理学が専門の内田伸子先生にお話を伺いました。知能テストでも、男の子と女の子に違いが出る「知能テストを行うと、『アのつく言葉をたくさん言って』というような、言葉の流暢さや言語発達を測定する課題は女の子のほうが好成績です。棒をひっくり返して反対側の溝に倒さずに並べていくような、指先の器用さを測定する課題でも女の子のほうが高得点が出ます。男の子が得意なのは、心的回転力検査です。異なった角度から見た図形の中で、同じ図形はどれかを当てる検査のことで、頭の中で図形を回転させて考える必要があります。また、ダーツのように的を狙うものも男の子のほうが得点が出ます」男の子と女の子では、能力を発揮できる得意分野が違うのですね。男女の得意分野が違うのは、脳の性質が違うから「脳の左側(左脳)は理性の脳と呼ばれ、言語や概念、計算を担っています。右側(右脳)は感性の脳と呼ばれ、地図を読み取ったり、平面から立体を想像したり、音楽を聴くときなどに使います。感情や気持ちを感じ取るのは右脳ですが、『あ、ママのご機嫌が斜め』というようにラベルを付けるのは左脳の仕事です。このように右脳と左脳は違う働きをし、互いに協力しあっています。右脳と左脳が協力しあえるよう、情報を伝えたり制御したりするのが脳梁(のうりょう)という部分です。脳梁は、脳の成熟が早い女の子の方が大きくなります」それはなんと、生まれる前に浴びるホルモンの影響なのだそうです。「妊娠中、男の子になる受精卵(XY型の性染色体)には男性ホルモンが浴びせられ、将来、男の子になるための準備が始まります。このとき、男性ホルモンの影響によって、成長ホルモンが抑制されるため、身体と脳の成熟が一時的に抑えられます。その後、相対的に右脳が発達するため、男の子は図形や空間などの認識が得意だと言われています。一方、女の子になる受精卵(XX型の性染色体)には男性ホルモンによるストップがかかりませんから、脳が成熟し続けます。特に左脳が早く成熟します。それは、脳も身体も左側が先に成熟するためです。そして、女の子は左右の脳の成熟度がアンバランスになり、左右をバランスよく使うために脳梁が発達するのです」なるほど。女の子は言語を司る左脳が発達しているうえ脳梁が太いので、思いを言葉にしたり、物事を同時に処理したりすることが得意なのですね。男の子は口ベタで甘えん坊「女の子は3歳くらいで小さなレディになりますが、男の子は小学校6年生くらいまで『ママ、ママ』と甘えん坊です。また、病気になったとき、保育園を何日も休むのは男の子のほうが多く、女の子は回復が早い傾向があります。熱に弱いのも男の子のほうが多いようですよ」それは、女の子の染色体XX型に比べて、男の子のXY型は小さくてデリケートなことが影響しているとも言われています。「ですから、小学校を卒業するまでは『男の子でしょ』なんてプレッシャーをかけずに育ててあげてください。そうすると、思春期に第二次性徴がやってきて、しっかり自立していきます」つまり一般的に、女の子は成熟が早くて言葉が達者、一度にいろいろなことをこなせて器用。男の子はひとつのことに集中して取り組み、甘えん坊の傾向があるということのようです。男女の違いを知ったうえで、その子にあった子育てをしていきたいですね。(佐々木月子)今回取材に協力してくださったのは内田 伸子先生十文字学園女子大学特任教授・お茶の水女子大学名誉教授・学術博士。専門は発達心理学、認知心理学、保育学。国立教育政策研究所「幼児の論理的思考の発達調査プロジェクト会議」(主査)、最高裁「裁判員制度の有識者会議」(委員)、文化庁国語審議会委員なども務めるほか、NHK Eテレの「おかあさんといっしょ」の番組開発やコメンテーター、ベネッセの子どもチャレンジの監修、しまじろうパペットの開発、創造力知育玩具「エポンテ」(シャチハタ)の開発なども担当。著書は、『発達心理学―ことばの獲得と教育』(岩波書店)、『よくわかる乳幼児心理学』(ミネルヴァ書房)、『 子育てに「もう遅い」はありません 』(冨山房インターナショナル)など多数。
2015年12月28日現代はテレビがあるのがほぼ当たり前の時代であり、多くの人が毎日の生活に必要な情報をテレビを通じて受け取っています。テレビが子どもにどんな影響を与える可能性があるのかについて、少し考えてみましょう。テレビは場合によっては有害にもなり得る?最近はテレビがない家や、あってもほとんど見ないといった家もありますが、そうした家庭はまだまだごく少数にとどまっているのではないでしょうか。今のところ、テレビは情報を受け取るためのメインデバイスであり、いわば生活に必要なものと位置づけられているかと思います。テレビに対する考え方も最近はいろいろで、テレビなんて害ばかりで見る価値がない、といったことを言う人も中にはいます。テレビを見なくても、何らかのかたちで現在の世界情勢や流行などを追いかけることができていればいいのですが、それがない状態で情報媒体としてのテレビを生活から遠ざけてしまうのは、社会情勢に適応できなくなるという意味で現実的ではないと思います。特に、子どもが友だち同士うまくやっていくためには、テレビはほぼ必需品となっているところがあります。世の中で今流行っていることをキャッチし、それによって友人間でのコミュニケーションをスムースにするのに欠くことができないものとなっているからです。子どもたちの間でうまくやっていくには、最近話題のテレビドラマや流行曲、タレントの情報やバラエティ番組の内容などを知っていないと、なかなかに難しいものがあります。一方、テレビに害があるという意識を持った人も増えてきているのも、また事実です。この、「テレビは使い方によって有害にもなり得る」という考え方は、ある点では当たっています。テレビが生活の中で必要であると位置づけられている今だからこそ、そうした危険性をきちんと意識しておくことは必要でしょう。こういった危険性をきちんと分かっていれば、テレビが発信している情報を何も考えず鵜呑みにしたり、テレビ中毒のような状態に陥ってしまったりせずにすみます。テレビは情報を伝える媒体でもありますが、同時に経済性を追求する企業が行っている活動でもあります。つまり、テレビを放送することで収益が出ないとテレビ局としては成立しないわけです。言い方は悪いかもしれませんが、テレビはその情報を発信する主体にとって都合がいい情報を流しますし、所有側が好きな情報を流すのは当然の権利とも考えられます。テレビというものの本質の中にそうした側面があることを理解し、ある程度批判的にその内容を吟味する力も必要なのです。次回は、テレビの内容を吟味する力をつけるための一例をご紹介します。(子育ての達人)
2015年12月27日物事には多面的な見方があることを教えよう の続きです。子どもには物事を一面的に捉える傾向があり、それゆえに不登校になってしまうものです。大人のように見方を変えて捉えることができれば、不登校になるほど悩むこともないはず。そこで今回は、子どもに多面的な見方を教えるためのヒントをご紹介します。物事を多面的に捉える技術を手に入れるには子どもが物事を多面的に捉える技術を身につけるには、やはりきっかけが必要です。けれどもそれは、家庭の中で用意できることです。チャンスはたくさんありますので、子どもにとって身近なことを利用して教えていけばいいのです。たとえば、食べ物を例として見てみましょう。子どもは割合に好き嫌いが多いものですが、その一方、ふとしたきっかけで嫌いなものを食べられるようになることもあります。ある食べ方では苦手だったものが、別の調理方法を使ったりメニューを変えたりすればおいしく食べられる、といった経験をしたことがある方も多いのではないでしょうか。こうした発見は、子どもにとって物事を多面的に捉えることのいい例になります。あれほど苦手で食べられなかった食材が、この料理にしたらむしろおいしく食べられた、というのはかなりのインパクトを与えることだからです。その際に、物事を多面的に捉えることについて話してみれば、効果はさらに上がります。このような経験を豊富にしてきた子どもは、物事を多面的に捉えるための気づきをたくさん得ることができますので、ほかの点で何か問題が起きた時にそれを応用し、自分の中で問題を解決しやすくなります。一見嫌でたまらないことが起きた場合でも、その出来事について別の評価をするだけで感じ方を変えられることを知れば、どっぷりはまり込んで悩むこともなくなるはずです。多面的な捉え方を教えると、好き嫌いがなくなる!?食べ物の場合に大事になってくるのは、親が子どものためにできるだけ料理を手作りすることです。そしてその中で、子どもに好き嫌いが多いからといって、子どもの好きなものばかり作らないことも重要です。子どもが嫌いな食材があったとしても、いろんな料理法やメニューを試してみるのが大事なのです。そして、工夫次第で嫌いな物でもおいしく食べられるようになるのだということを、身をもって子どもに示すこともできます。このやり方にはうれしいおまけもついてきます。それは、子どもの好き嫌いが結果的に減るという効果です。嫌いなものが減れば健康にもいい効果がありますし、食事の楽しみも増すので、子どもはその点でも幸せを感じることができます。このように日常には些細な困難がたくさんあります。それらに出くわした時に、「避ける」という対処法を採るのではなく、「解決する」という対処法を採るように(採れるように)、親がサポートしていく姿勢が重要なのではないでしょうか。(子育ての達人)
2015年12月26日うちはモフモフ暮らし
めまぐるしいけど愛おしい、空回り母ちゃんの日々
やっぱり家が好き〜おっとぅんとみったんと私〜