2020年3月22日 08:00
小学校生活はお遊戯会。誰にも理解されず、浮きこぼれていた私――違和感だらけの子ども時代を振り返って【宇樹義子さん連載開始!】
とのことです。
自分の世界観と周囲の人たちの世界観とのギャップ
中学からは私立の進学校に進んだためもあるのかかなり楽になったのですが、私は子ども時代、周囲の人たちの持っている世界観と自分の持っている世界観とのギャップに苦しんでいました。
特に小学校時代は、「自分のようなものの考え方をしているのは私だけ」と感じることが多くありました。「ものごとの筋が通っていない」ことについての苛立ちを言語化できるだけの語彙もまだ与えられていなかったので、強い孤立感と不自由感を感じていました。
「子羊と戯れたあとにジンギスカン鍋を食べた」エピソードは心に残っています。確か小学校低学年のころ、とある農場に遠足に行ったとき、午前中みんなで子羊と戯れたあと、昼はジンギスカン鍋を食べることになっていました。
私はまず、聞いたことのないこの鍋の肉がなんの肉なのかが気になって担任に聞きました。すると、羊の肉だと言う。
私はその瞬間、さっきまで皆で遊んでいた子羊が首を矯(た)められて捌(さば)かれるイメージに頭を占領されてしまいました。人間って残酷だなあという思いにかられ、周囲のクラスメートに「ねえ、この鍋の肉、羊のなんだって」と言ってみると、みんな「ふうん、それで?」という感じで反応したのみで、楽しそうにキャッキャしています。
周囲のだれも、自分が食べる珍しい鍋の肉がなんの肉なのかに興味を持たないばかりか、羊と戯れたあとになんの引っかかりも感じず上機嫌で羊の肉を食べるなんて…私はそれですっかり食欲を失ってしまったのでした。
小学校5年ぐらいだったか、太めだったAくんが一人だけお弁当を持ってくるようになりました。そのとき担任の先生が、「Aくんは健康上の理由でお昼にお弁当を食べることになりました。『脂肪』という成分がAくんの身体によくないんだそうです」と言ったのです。
私は、脂肪のカロリーが高いことはすでに知っていたので、「後半がよけい! Aくんが肥満の治療のためにお弁当を持ってくるようになったことがバレバレじゃないか! 小5の理解度をバカにしてるのか?」と思いました。でも周囲を見てみると、何か特別な反応をしている子はひとりもいなくて、みんな「ふーん」という感じで聞き流していました。
また、同じ担任の先生だったとき、クラスの男の子が出し物で「プロレスをやります」と言い出しました。そこに担任の先生はわざわざ、「プロレスというのはプロの選手がやるレスリングのこと。