子育て情報『医療的ケア児とは?学校でケアをする意義と課題、保護者の深刻な負担。切れ目ない支援に必要な4つのこと【専門家監修】』

医療的ケア児とは?学校でケアをする意義と課題、保護者の深刻な負担。切れ目ない支援に必要な4つのこと【専門家監修】

これらの中には自分、支援者、友達などが、管を抜いてしまう事故抜管なども考えられます。

このように、ケアを安全に行うだけでなく、体調の管理や急変時の対応や事故が起きないための工夫も必要となります。


医療的ケア児と保育・教育現場の課題

近年、医療的ケア児が増加する中で、保護者や教員など当事者や実践現場の声により法整備が進み、「社会福祉士及び介護福祉士法の一部改正」や「医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律」などによって、医療的ケア児をとりまく環境も変わりつつあります。

・「社会福祉士及び介護福祉士法」の一部改正による変化(2012年)
介護職員等(介護福祉士、ヘルパー、教員、保育士等)の対応が法的に位置付けられ、医療的ケアの担い手(対応者)が拡大していく方向に進みました。例えば、これまでは保護者が付き添って行うことも多かった、痰の吸引や経管栄養の実施なども教職員が行うことができるようになりました。

・「医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律」の施行(2021年 6月)
国や地方公共団体などは、医療的ケア児に対する教育体制の拡充をはかることが求められるようになりました。

文部科学省からは、「学校における医療的ケアの今後の対応について」(2019年)という通知が出され、各教育委員会などに向けて、すべての学校における医療的ケア児への対応が示されました。

その中では、医療的ケアの基本的な考え方や、医療的ケアを実施する際に留意すべき点などがとりまとめられています。
また、各都道府県に相談や情報提供等を行う医療的ケア児支援センターも設置されました。医療的ケアを行う看護職員などへの研修資料の作成や、医療的ケア児の受け入れ体制に関する調査研究なども進められています。

医療的ケア児の家族は、就学前からずっとわが子のケアを担ってきました。

日常的に命に関わるケアを求められる家族の負担は、定型発達の子どもを育てる家庭に比べて、とても重くなります。病院ではなく家でケアを行うことで、「何かトラブルがあったら」という不安が常にあり、ケアの頻度が高ければそれだけ時間も割かれます。深夜も子どもの様子が気になって、熟睡できないことや、必要なケアが就寝時間帯にも及ぶと、家族の睡眠時間にも影響もするでしょう。また、子どもの今後の発達や、将来への不安を感じている家庭も多いと考えられます。

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