共通テスト(英語)に必要なリスニング対策と効果的な練習法
ただ、そもそも英語を「余裕をもって聞き取り、かつすばやく理解できる」というスキル部分を早い段階からトレーニングしておかないと、こういったテクニックも有効に活用することは難しいものです。
人間の脳内には、ワーキングメモリとよばれる脳の作業容量が存在しており、一度に処理できる情報には限りがあると言われています。
リスニングをするときの脳内では、ざっくり分けると「音声知覚」→「理解」という処理が行なわれています。この2ステップがスムーズに進めば、話全体の内容理解ができる、ということです。
「音声知覚」というのは、音声を聞き取って、知覚するステップ。単語が認識できるような状態で、音がキャッチできている、ということです。それができれば、自分の長期記憶にある知識と照らし合わせて、単語の意味を特定したり、文法知識を用いて構文を理解したり、文脈や背景知識も活用して話の全体像を理解したりできるわけです。
ちなみに母語であれば、この最初のステップである音声知覚というのは限りなく自動化され、無意識に処理できており、ワーキングメモリを消費する割合は通常低く抑えられます。
それに対して外国語となると、音声知覚自体に大きな負荷がかかりがちです。「音声がただの呪文のように聞こえてそもそも単語が認識できない」、「個々の単語は聞き取れたのに、理解が追いつかない」、「その場では理解までできたのに、話が終わったあとには内容を忘れている」などといった場合には、程度の差はあれど「音声知覚」に脳内のリソースが多く使われて「理解」の処理や内容を覚えておくことに回す余裕がなくなっている可能性があります。そのような状態で、メモをとったり、複数の情報から判断したりといったことを並行して行なうのは至難の業です。
ですから、まずはそれぞれのプロセスをいかに自動化するか、ということがポイントです。解き方のテクニックはそのあとですね。
ーーリスニングスキルを効率よく身につけるためにはどのようにするとよいでしょうか。
田畑さん:
やはりそのためにはトレーニングが重要です。言語を運用するというのは、運動技能に似たところがありますから、一定の知識を身につけたあとは、繰り返しの練習によって知識をうまく運用できるスキルにしていく必要があります。
先ほども申し上げたとおり、リスニングスキルを鍛えるには、ふたつの要素を意識するとよいです。