強豪チームに誘われたものの移籍をためらう息子の背中を押したい問題
などと誘導しないこと。あくまで彼の意思を尊重しましょう。
「なかなか難しい決断だったね。でも、君が決めたことを、お母さんもお父さんも尊重するよ」と言ってあげてください。
そのようにして決めたことは、結果が移籍であろうが、今のチームに残ることになろうが、いずれにしても息子さんは「お母さんにも、お父さんにも認められている自分」を感じることができます。これまで以上に自己肯定感が高まるはずです。
これとは逆の親子の例を見たことがあります。
息子さんは同じ小学3年生。
チームでは上手な部類で、足が速かったその息子のチームを指導していたお父さんコーチの男性は、3年生の秋に息子さんを隣町にある当時JFLの下部組織のジュニアチームに入れようとしました。
息子さんは「今のチームでやりたい」と泣いて抵抗したそうです。しかし、お父さんは泣く子を引きずるようにして、セレクション会場に連れて行ったそうです。結果的にセレクションは不合格。そのうえ、セレクションを受けたことが他の選手や保護者に伝わり、チーム内はぎくしゃくし始めました。しかし、無理やり連れて行ったお父さんは「今のチームにいても上には行けない」と言うばかり。お母さんは大変困っていらっしゃいました。
ジュニアユースに進む6年生になると、他の選手のほうが伸びてきました。
結果的にそのお父さんコーチの息子さんはセレクションがうまくいかず、他のコーチの方の口利きでクラブに入ったと聞きました。
■親の一声でわが子を動かすのが良しとされたのは昭和まで
(写真はご質問者様及びご質問内容とは関係ありません)
三つめ。
このように子どもが何かの岐路に立たされた時、親の態度が一転、二転しない、ブレないことがとても重要です。
お母さんはメールに「最終的には息子が決断することだと思います。ただ、より良い環境に導くのは親の言葉一つだ」と述べておられます。
さて、本音はどちらでしょう?
私にはわかりませんが、子どもは親がいくら繕っても本音を見破るものです。
親がツルの一声でわが子を動かすのが良しとされたのは、昭和までの子育てです。進学も就職もスポーツも選択肢が非常に狭く、社会的にも「上の言うこと素直に聞いて実行できる人間」が重宝された時代には、親が強権をふるっても何とかなったかもしれません。
ですが、平成ではすでにそのような子育ては通用せず、すでに時代は令和です。