我慢の先に何がある? コーチが怒鳴るチームをやめさせたいのにサッカー経験者の夫が反対するので悩みます問題
例えば息子さんが試合前に腹痛を起こすようになった際「メンタルが弱い」と決めつけています。子どもがこのような症状をきたす場合は、心理的にプレッシャーがあるなど、その環境に拒否反応を示しています。そういったことは数年でも子どもに向き合っていれば、どこかで入れられる知識や情報です。いまどき、子ども側のメンタルの弱さに結び付けているようでは考え方が古すぎます。どうかアップデートしてもらいたいものです。
本来ならば、指導者と保護者とで学び合ってお互いに成長できる機会を持っていただきたいですが、子ども側は待ったなし。息子さんがチームをかわりたいというのであれば、一日も早くそうさせてあげましょう。
■やりたいプレーの実現に味方のレベルは影響するが、威圧に耐えてまで優先するものではない
加えて、お父さんをいかにして説得するかが肝要です。
お父さんのおっしゃる「やりたいことをやるには味方の強さも必要だから耐えるべき」は、なんとなくですが理解できます。サッカーはチームスポーツですから、パスを受ける側や出す側の技術レベルの一致はある程度必要だという見解でしょう。
しかしながら高学年になると、徐々にそこまでの差はなくなってきます。暴力的な指導に耐えてまで大事に確保すべき環境とは私には思えません。暴力的な指導によって生まれるリスクのほうにより注目してもらいたいです。
■やる気のメカニズムがある行動の先に良いことが予測されないとやる気は出ない
ある行動をとろうとするときに、その行動の先に快感(良い気分)が予測されるからこそ、私たち人間は「やる気」がわきます。例えば、一度机の上を片付けたら良い気分になった。達成感があるからです。
この良い気分をつくっているのはドーパミンで、分泌するドーパミン神経の束は、報酬系、快感系ともいわれます。この「片付けをする=良い気分」のマッチングが繰り返されると、その結びつきは強化されます。サッカーであれば、こうやって練習したら上手くなるに違いないと思えばやる気が出ます。過去に「こうやったらできた」といった経験がもとになるのも同じ構造です。
その際、その行動と快感を結びつける働きをするのが、左右の大脳半球の下側にある「線条体」という神経核だそうです。この線条体、他者に褒められたり認められると活発に動いて意欲をもたらしてくれます。逆に、怒鳴られたりすると線条体は動かなくなりやる気はつぶされてしまいます。