外にも中にも視線が抜けるおおらかなつくりで人が集まる家
開放感と抜けのある空間
この近くの団地に10数年住んでいて、土地勘があり、また地域のコミュニティとのかかわりができていたことから同じ市内で探してH夫妻がみつけたのが公園に面した敷地だった。
「住宅密集地ではなく開放感と視線の抜けのある敷地を望んでいました。ここは南側に公園があってわれわれにとっては理想的でした」とHさん。
大きな片流れの屋根とずらして配置された開口が特徴的。外壁は家の周りにサンプルを並べて黒のガルバリウムに決めた。手前(南)側に公園がある。
設計でのリクエストもまずは「開放的で抜けのある空間」。そして「奇をてらわずおおらかで品の感じられる空間」だったという。
奥さんは打ち合わせ時に、スペイン旅行の際に泊ったホテルでの体験を建築家の角倉さんに話したという。「そのホテルは修道院を改装した建物で崖っぷちに立っていたんですが、視線が遠くまで抜けて窓際からの景色が素晴らしかったんです」
キッチンから2階のダイニングとリビングを見る。正面の窓から南側の公園の緑まで視線が気持ちよく抜けていく。
H邸は南側の壁面に同程度の大きさの3つの窓と玄関扉の脇につくられたフィックスのガラスの開口などによって公園への抜けを確保してH夫妻のリクエストに応えているが、さらに内部においてもスペース間の視線の抜けを確保している。