自然と向き合うヴォールト天井の家 植物や虫や動物たちと境界なく暮らす
まずはこの家のいちばんの特徴であるヴォールト天井についてうかがってみた。
「ドーム状の包まれたような空間で暮らしたいということで、ファックスで送られてきたイラストがキノコが大きくなったような形のお家でした。2世帯でかつそれぞれに部屋をいくつかつくることなどを考えていったときにそのドーム状の円い空間がネックになりました」
天井をドームからヴォールトへと変えた理由のひとつに目の前に広がる池の存在があった。「人間は美しいものに視線が自然と向かうので、ヴォールトにしたのには、池へと向かう方向性をつくって手前にいても奥にいても必ず池と向き合うような天井にしたほうがいいのではないかということもありました」
植栽計画は2人の植栽家に依頼。「1人の植栽家が描いた世界観が自然に植物の種類が増えていくに連れて壊れていくのではなく、どんな植物でも“入って来てOK”という環境になっていてそれがとても良かった」(武田さん)。
武田さんの仕事スペースから池を見る。大中小のヴォールトが並んで天井にリズミカルな変化が感じられる。
造り付けのベンチ側から見る。人間にとって原初的な空間ともいえる洞窟のようなつくりが心地よさと安心感をもたらす。