2017年7月10日 21:15
年下好青年からの猛アタックに、女は…|12星座連載小説#115~山羊座10話~
さすが数学教師……。
『いや……学校内で、教師同士がする話じゃないのかなと思いまして』
これで彼を黙らせることができるだろう。
北野先生はハッとした表情を浮かべた。そして、彼の顔はみるみるうちに真っ赤になった。
「すみません……つい……失礼いたします!」
そう言って、彼は走り去った。
……ふぅ、なんとかこの場は乗り切れた。
正論よね。
なんだかんだ言って私のほうが年上だし、教員歴も長いから。
ただ、きっと傷つけちゃったわよね、北野先生のこと。後でどんな顔して会おう。
―――お弁当箱の包みを再び開く。
でも、あんなに“熱くなれる”なんて、羨ましいな。職員室からここまで、私の後を追って走ってきたんだ。すごいなぁ。
基本的に、“去る者追わず”なスタンスの私には、考えられない。
あそこまで必死になるってことは、それってもしかして―――
いやいや、そんな自分に都合の良い解釈はしないでおこう。
違っていたら、すっごく恥ずかしいしバカみたいだし。
こうやって体育館裏でひとりお弁当を食べていると、新任の頃を思い出す。最初は右も左も分からなかったのよね。
教頭先生から怒られた時なんかも、ここへ来て泣いたっけ。