2017年7月10日 21:15
年下好青年からの猛アタックに、女は…|12星座連載小説#115~山羊座10話~
『え、どうして?』
「だって、午前と午後とで全然雰囲気が違うから」
私って、そんなに顔に出るタイプなのかしら。弱ったな……。
『別に何もないわよ、ほら、遅くなるから早く帰りなさい!気をつけてね』
「はぁ~い」
飯山さんは、つまらなそうに返事をして帰っていった。
校舎の3階から外を眺めると、まだ体育館のライトが点いている。剣道部はまだやっているのね。
北野先生、今どんな気持ちなんだろう。落ち込んでなきゃ良いけど。
人気のない職員室に戻り、視聴覚室の鍵を元の場所に返す。
今日も一日が終わった。
ドキドキしたり、ビックリしたり、冷静になったり、なんだかとても忙しい一日だったなぁ。
帰り支度を済ませて、職員出口から専用駐輪場まで歩く。そして、校門を出ていつも通り帰ろうとしたその時。
「山崎先生~!!」
聞き覚えのある声が、後ろから聞こえて振り返る。よく見えないけど、あのシルエットは……北野先生。
スーツ姿でカバンをブンブン振り回しながら走って近づいてくる。
『本当に、この人は……』
“呆れ”とともに、“愛おしさ”を感じている自分がいる。
「ハァハァ……ハァ」
あっという間に、私の目の前にやってきた。