2017年7月11日 21:15
「年下男子」の虜になる30歳女|12星座連載小説#116~山羊座11話~
そして数秒後。
「あ……あぁ、はい! 行きましょう!」
これが、“母性”というものだろうか。“子どもっぽい”青年と、つい食事の約束をしてしまった。
「では、今週末の何時にしましょう!?」
『その前に、ちょっと待って』
釘を刺すように、私は彼に言った。
学校では絶対に二人きりにならないこと。仮にそういうシチュエーションになったとしても、挨拶程度で済ましましょう。
外で会うのは、生徒や先生たちがいないような場所。そして、このことは誰にも絶対に言わないこと。
これが守れないのであれば、お断りします。
――そう言った。
彼はコクンとうなづいて、「守ります」とだけ答えた。
それからはデートの日時を決め、ちょうど閉店時間になったので、それぞれ家路についた。
―――帰宅。
今日は何だかすごく疲れた。
でも、なんだろう。心地良い疲れ。
嫌な感じはしない。
自分でも驚いている。男の人とあんな話をしたのは初めてだった。
大学時代の“あの一件”以来、私は男の人と話すのが苦手になっていた。
でも不思議だな、北野先生は平気だった……。
―――年下の男の子っていうのも、悪くないのかもしれない
私の話をちゃんと聞いてくれる。