くらし情報『悲しくないのに「頬を伝う涙」…|12星座連載小説#122~水瓶座11話~』

2017年7月20日 21:15

悲しくないのに「頬を伝う涙」…|12星座連載小説#122~水瓶座11話~

数分後、ドアが開いて三橋が顔を覗かせる。

……かなり憔悴している。

『おい、三橋……大丈夫か?』

「せ、先輩……」

それから三橋は、この二日、各所への謝罪メールや電話対応に追われていることを語った。幸いにも、テレビ局の竹内さんは、CM製作に着手してはおらず、お金の動きはなかったとのこと。ただ、ウチとの信頼関係は地に落ちただろう。

三橋にコーヒーを一杯奢ってから、退職する旨を伝えた。
悲しくないのに「頬を伝う涙」…|12星座連載小説#122~水瓶座11話~


「そうですか……悔しかったでしょうね。先輩、すごく入れ込んでたから……ただ、私としては先輩がいなくなると寂しくなります……」

『で……お前はどうするのよ?』

「私、ですか……?そうですね……私は残ります。
どういう結果であれ、私が任された仕事ですから……。続けていれば、また良いこともあると思いますし……」

『そうか、頑張れよ!』

「退職後、先輩はどうされるんですか?」

『あ、あぁ、親しい奴とネットビジネスでもしようかなって』

「そうですか、上手くいくことを願ってます。退職後も、仲良くして下さいね」

『もちろんだよ!』

三橋の肩をポンと叩き、振り返らずにバイバイと手を振る。その足で、退職届を提出しに行くためエレベーターに乗る。

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