2017年7月24日 21:15
男から「離れられない」女たち…|12星座連載小説#124~牡羊座10話~
と言いたい。
しかし、今の私はあくまでドキュメンタリーを作る立場。この人の人生とは無関係なんだと言い聞かせる。すべての人を救えるほど、私は力も能力もない。
『……インタビューはこれで終了です。ありがとうございました』
如月が、私の声を合図にカメラを止める。
「ええ、こちらこそ……あの……」
美智子さんが、何か言いにくそうにしている。おそらく謝礼のことだろう。
『はい、こちら本日の謝礼を些少ですがお渡しいたします。こちらに印鑑を押してください』
……この人を救える人は現れるのだろうか。
―――彼女に茶封筒を渡し、私たちはその場を後にする。
駐車場からバンを移動させ、会社に戻る。車の中で一息つく私たち。
……重たい。同じ女として胸が痛い。如月も、何とも言えない表情をしている。
幸せな女と不幸な女。その境界線は、実はすごく曖昧で、誰もが転落する可能性を潜在的に持っているのだ。その原因が“寂しさ”にあるのなら。
考えさせられる……。でも、次が待っている。気持ちを切り替えよう。
『如月、取り敢えず2時まで時間があるから、今から10時まで編集お願い。私は、次のアポイントとテロップ内容案を打ち込んどく』
「了解しました!」