2017年7月26日 21:15
「I am. 」~私は存在する。~|12星座連載小説#126~牡羊座 最終話~
12人の女性たちの生き方を、12星座になぞらえて紹介していくショートクロスストーリー『12星座 女たちの人生』。 キャリア、恋愛、不倫、育児……。男性とはまた異なる、色とりどりの生活の中で彼女たちは自己実現を果たしていく。 この物語を読み進めていく中で、自身の星座に与えられた“宿命”のようなものを感じられるのではないでしょうか。
文・脇田尚揮
【12星座 女たちの人生】第126話 ~牡羊座-最終話~
―――2ヶ月後……。
私は自分が手がけた番組を会社で観ていた。完璧な出来ではないが、精一杯やったという自負はある。
如月、木田さんをはじめチーフプロデューサーの吉岡さん、今回の企画に異を唱えた飯田達もいる。
2時間番組という枠の中で、自分が表現したかったことを全て詰め込んだ。この作品が、私の中でずっと消化不良だった“夏希”への想いを昇華させるものになったことは確かだ。
「貧困女子の本質は、女性であるが故の“寂しさ”にあるのかもしれない―――」
ナレーターが、締めのコメントを告げ、番組は終わった。
「終わりましたね」
如月が涙目で微笑んでいる。
『お疲れ様。助かったわ……ありがとう』
彼女にとっても、ADとして初めてのドキュメンタリー番組の完成だ。