2017年8月10日 21:15
イタリア人彼氏の「知られざる姿」|12星座連載小説#137~射手座 11話~
『……うん』
「別にキミを束縛することはしないヨ。フットワークの軽さは、Junの“持ち味”だからね」
寛容さは、あなたの“持ち味”よ……クリス……。
「じゃあ、今からお店に行くから、待ってて……」
『あ、あの! クリス!』
「ん?」
『ありがとう……』
「No worries!(気にしないで)」
電話はそこで切れ、数分後クリスが店にやってきた。
『クリス!』
「待たせたね……支払いは?」
『こっちよ……』
入口近くのテーブルに、ガングロ男が足を組んで座っている。
「お支払いですね……ありがとうございます」
クリスがプラチナカードを差し出す。ガングロ男が二度見する。
おそらく大柄な外国人に驚いたのだろう。
突然、クリスが大声でガングロ男をまくし立てる。
イタリア語な上にスラングも混じっていて、私も驚いてしまう。独特の巻き舌が、まるでケンカ腰のようにドスを効かせている。
簡単に言うと
「お前たち、あまりにもやり方が汚いぞ! こんなビジネスがいつまでも成り立つと思うなよ……!」
という趣旨のようだ。それ以降は聞き取れなかったが、彼の口調からしてかなりハードなことを言っているに違いない。