2017年8月10日 21:15
イタリア人彼氏の「知られざる姿」|12星座連載小説#137~射手座 11話~
最後に、ガングロ男の胸を人差し指でトンと押した。店は騒然となり、男はクリスに圧倒されたのか、ポカーンとしている。
「OK! 出ようかJun!」
私の手を取って、クリスが出口へと引っ張ってくれる。ホスト達の見送りも無い。
何だろう……。まるで“シチリア・マフィア”のような凄み。
日本のチンピラホストなんて目じゃないわ……。
「Hahaha! 見たかい、Jun。
奴らビビって声を上げることも出来なかったネ!」
嬉々としてクリスが話す。クリスの顔を見上げると、いつものようにブラウンの瞳が輝き、たくわえたヒゲの奥に白い歯が見えている。
『驚いたわ……』
「僕のgrandfatherは、旧マンガーノのファミリーだったのさ」
旧マンガーノ……今で言うガンビーノ一家……五大ファミリーのひとつじゃない!
『えええっ!』
「いや、それはお爺ちゃんの代の話で、ボクは無関係サ。……まぁ、お爺ちゃんが残した財産や芸術品を管理してはいるけどネ……。お爺ちゃんには、とても良く可愛がってもらったよ。いつもウチに来る人達を、さっきみたいに叱っていたけどね……」
全然知らなかった。
絵を描いたり、古物商のようなことをしたりしているとは知っていたけど、クリスにそんな背景があったなんて……!
「Jun、人は見かけによらないものサ。