2017年8月21日 21:15
私が本当にやりたかったコト…|12星座連載小説#143~魚座 11話~
あ、あった!!
立ち並ぶ家々の中でも少し大きくて、お花でいっぱいの広い庭があるお家。ここで間違いないわ……!
しっかし、安岡さんの家、素敵ね……これって持ち家よね。
ローンってあと何年くらいかしら。
“主婦病”ではないけど、ついついよそ様の“値踏み”をしてしまう。
―――ピンポーン
チャイムを鳴らすと、すぐに安岡さんがドアを開けてくれた。
は、早い……。
「まぁ! 和辻さん、ようこそいらっしゃいました! ささ、どうぞ」
スリッパを出してくれて、奥へと促す。
『安岡さん、突然すいません……お邪魔します』
安岡さんは、私よりも5歳くらい年上。
結婚後、なかなかお子さんに恵まれなかったらしく、うちの子と同じ幼稚園に通っている勇太郎くんは、苦労の末やっと授かった子だって言っていたわ。
夢叶、けっこう勇太郎くんのこと気に入ってるのよね。
「あたまがよくてかっこいいの!」って言ってたっけ。
「どうぞ、良かったら」
リビングに通され、上品なティーセットで紅茶を振舞ってくれる安岡さん。窓からは、綺麗なお花が咲いているのが見える。
きっと、彼女はこうして人をもてなすのが好きなんだろうと思った。