2017年12月15日 20:00
吉田鋼太郎 蜷川幸雄氏の遺志引き継ぎ…シェイクスピアにかける思い
吉田:
シェイクスピアの戯曲って、美しい詩の形態をとっているから、セリフを口にした時点で俳優は満足してしまうところがあるんです。その言葉が、誰に対して、どういう気持ちで発せられたのかが、ないがしろにされがちなので、そこを僕は丁寧にやりたいんですよ。
――そもそもこのシリーズは、シェイクスピアの全37作上演を目指して蜷川さんが始めたものです。誰かが引き継がなければいけなかったとは思いますが、この大きすぎるバトンをご自身が受け取ることに迷いはありませんでしたか?
吉田:
僕は蜷川さんのこのシリーズにたくさん出させていただき、いくつも主演もさせていただいています。シェイクスピアをやり続けてきた自分の役者人生にとって、このシリーズは大きな位置を占めているもので、これを止めたくないという気持ちが大きかったんです。5本を残して蜷川さんは亡くなられましたけれど、もし蜷川さんが生きていて、全作達成されたとしても、そこで終わってしまうのは嫌だった。それくらいこのシリーズには愛着があるので、その後を自分が引き継がせてもらえるのは願ったり叶ったりでしたし、そうじゃなくちゃいけないとも思いました。もちろんプレッシャーはありますけれど、それは蜷川さんの後継だという部分。