藤田さんの頭の中には、すでに何か明確なものがあるのがわかるから、安心できているんだと思います」
希望して足を踏み入れた俳優の道。
「やればできるだろうくらいに考えていたけれど、実際やってみると、台本から気持ちを作る作業がとてつもなく難しい。役のことが全然わからなくて、しんどい時期もありました。でも、嫌だと思ったことはなくて、その苦しさが逆に癖になる…楽しくなってきています(笑)」
そんな宮沢さんの突破口になったのは、ドラマの撮影で考えすぎモードになっていた時、台本から離れようとなにげなく入った老舗の喫茶店。
「お客さんは普段は接点が全然ないようなオジさんとか、夜のお仕事の女性たち。さりげなく見ていたら、話している内容や行動、顔の表情まで、全部が興味深くて。台本に向かっているだけじゃわからない、日常生活の中から得られる気づきって意外と多いんだなって思いました」
いまは、稽古終わりに共演者と食事に行き、作品から離れて他愛のない話をする時間も大切にしている。「藤田さんの舞台って観る人によって捉え方も変わるし、感じ方も全然違ったりする。
でも、それでいいと思うし、作品の芯にあるものはブレずに届くと信じているんですよね」