2018年12月11日 20:10
ん?というタイトルで読みたくなる 日常と非日常の境界を探る物語
だけどこの3つはどれも実はすごく身近にあって、その境界線がもやもやしているところをマンガで探ろうとしているのかもしれません」
“流浪のマンガ家”。衿沢さんは自身のことを、こんなふうに表現する。この短編集にもマンガ誌だけでなく、文芸誌やファッション誌、はたまたZINEなど幅広い媒体で発表された作品が収録されているのだが、いろんなスタイルやテーマで描くことで、自らも新たな出会いや発見を楽しんでいるようだ。
「お題を与えてもらうと思いもよらない話ができることが多くて、それで担当さんがびっくりしてくれるとすごく嬉しいですね。改めて読み返すと、何を考えてこうなったのか、自分でも覚えていないようなものも あったりして(笑)。いろんな媒体から影響を受けているので、試してみたいことが常にあるんです」
日常と非日常を行ったり来たりする危うさとワクワク感と切なさを、ぜひとも味わってみてほしい。『ベランダは難攻不落のラ・フランス』子どもや音楽などをモチーフに、2008年から2018年にかけて発表された短編を収録。セルフライナーノーツも付き、衿沢ワールドを堪能できる。
イースト・プレス894円Ⓒ衿沢世衣子/イースト・プレス
えりさわ・せいこマンガ家。