2018年12月22日 09:00
ホロコースト生存者が命の恩人と再会。奇跡を巻き起こす『家へ帰ろう』
そこで、作品ができあがるまでの心境や映画作りに対する思いなどについて語ってもらいました。
―頑固でありながらも愛情深いアブラハムですが、このキャラクターはご自身のおじいさんがモデルになっているのでしょうか?
監督
最初に脚本を書いたときの人物像は、天使のように優しくて、つねに笑顔のおじいさん。でも、それを読み返してみたら、厳しくて悲しいバックグラウンドに対して、ちょっと甘すぎるんじゃないかなと感じたんだ。
それで、もう少し辛口なところがあってもいいのかなと思って、頑固でつねに怒っているような人物に変更したんだよ。ポーランドについて話すのを嫌がったのは父方の祖父だけど、性格的には母方の祖父のほうがより近いかな。
6歳で自分がユダヤ人だという事実を知った
―では、おじいさんからポーランドで何が起きたのかを直接話してもらうようなことはなかったのですか?
監督
そうだね、一度もなかったよ。祖父はポーランドもポーランド人のことも嫌いだったから、僕自身も話題に挙げることすら怖かったんだ。
―監督自身も自分がアルゼンチン人ではなく、ユダヤ人であると聞いたのは6歳のときということですが、そのときはどのような気持ちでしたか?
監督
正直言って、いい気分ではなかったね。