2019年3月29日 21:00
知りたくなかった怖い話…「古着の黒ワンピ」にまつわるヤバい恐怖体験
ちょっと古いけれど、状態はいい。着てみると、黒色だから痩せて見える。値段もお買い得価格。すっかり気に入って、そのワンピースを購入した。
家に帰ってそれを着て、鏡の前に立ってみると、K子にとても似合っているように思えた。明日さっそく、会社に着て行こう。K子はいい買い物ができて、すっかりご機嫌だった。
翌日、その服を着て会社に行くと、心なしか周囲の人に見られている気がする。
きっと似合っているのだろう。会社のトイレに行ったときに鏡に映る自分を見てにっこりした。
K子は帰宅してからも、そのワンピースを脱ぐ気にならなかった。脱ごうとするのだが、なぜか脱いだ途端に無性に着たくなるのだ。なんだか、このワンピースを着ていると心が落ち着く。食欲も全然わかない。鏡に映る自分をうっとりと見つめながら、
「ずっと着ていたい……」
とK子は思った。
K子は次の日もそのワンピースを着て会社に行った。
その次の日も、その次の日も、着て行った。
その後、K子は会社に行かなくなった。K子が長い間無断欠勤をしているので、心配した会社の人が実家に連絡したらしい。K子のアパートに様子を見にやってきた母親は、鏡の前でボ――――ッとうつろな目で座っている娘を見て、ギョッとした。