2019年5月18日 10:30
「奇跡!」と学芸員絶賛…シンプルな銀器に隠された革新的な秘密
エミーリエは、当時(19世紀末~20世紀初頭)としては珍しく、結婚せず独身で通し、非常に聡明で強いキャリア・ウーマン(?)でした。そういった点で、今の私たちにも共感するところがあるかと思います。
――自立した女性だったのですね?
本橋さんそうです。このドレスも、実は革新的だったのです。当時、女性はコルセットで締めあげられ、ひとりで立っていられないような状態で、支えられる存在でした。男性の権力や財力を見せるための、いわば人形のような存在だったのです。
このドレスは、エミーリエ本人が着て、販売もしていた“改良服”といわれるものです。コルセットで締めつけず、女性が快適に動けて、さらに美しくもあるという服装は、その人の生き方やライフスタイルを反映するもので、エミーリエの強い意思が表明された興味深い作品だと思います。
※筆者注:エミーリエ・フレーゲ(1874-1952)は、画家グスタフ・クリムト(1862-1918)と親密な関係にあった女性実業家。今展のメインビジュアルで使われているクリムトの《エミーリエ・フレーゲの肖像》も、彼女をモデルにした作品です。
奇跡の銀器は必見!
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