2020年7月17日 19:00
一通の手紙が発端に…目が不自由な独居老人に起きた想定外の出来事
そのほかにも非常に印象的だったのは、ずっと独立心を持って1人で生活していた人が年を取るにつれてだんだんとその独立心を失い、自分の息子に依存していくようになってしまう姿。そういったことについて本人がどう考えているのか、というのも興味をひかれたところです。
典型的なブラジルとは異なる魅力を見せたかった
―なるほど。そのほかには、舞台となったポルトアレグレも大きな役割をはたしていると感じました。
監督そうですね。今回の映画を作るにあたり、入れたかった要素のひとつはブラジル南部についてでした。なぜなら、そこにはウルグアイやアルゼンチンが軍事独裁政権だったときに迫害から逃れた人たちがたくさん住んでいるから。
彼らは自主的に亡命した人たちではありますが、それでも自分たちの生まれた国の文化をずっと保ち続け、自身のルーツを大事にしながらいつかはきっと祖国に帰れると信じているのです。
―そういった背景があるからこそ、ポルトアレグレは日本人が思い描く典型的なブラジルのイメージとは違うんですね。監督自身にとっては地元でもある大切な場所だと思いますが、どのようなところが魅力ですか?
監督おそらくみなさんがブラジルと聞いて思い浮かぶのは、リオデジャネイロやサンパウロなどのトロピカルで楽しくてオープンないわゆる“ステレオタイプのブラジル”ですよね。