2021年4月19日 21:10
想像を実体化できる少女、いじめを機に不穏な方向へ…漫画『ブランクスペース』
スイは優等生だけど学校があまり好きではなく、屈折した子というイメージです」
そもそも本作を描くにあたってオーダーされたのは、青春モノ。皮肉なことに熊倉さんは、青春モノを読むのも描くのも苦手で避けてきた。
「爽やかな青春っていうのがピンとこなくて…。自分の学生時代も楽しいことがあるにはあったけど、つらいことのほうが多かった気がするので。似たような人は一定数いるはずなので、そういう人でも楽しめる青春モノを描こうと思いました」
ふたりの距離が縮まっていく前半に対して、後半は少々不穏な空気が漂ってくる。陰湿ないじめに遭うスイは次第に破壊衝動を抱くようになり、マイペースなショーコはクラスが分かれてしまったこともあり、彼女の変化にすぐに気づくことができない。そして読者も、独特な雰囲気をふわふわと楽しんでいたはずが、1巻を読み終える頃には、予想していなかった場所にいることに。
「面白い絵が自分でも見たいんです。
描きやすいけど退屈なものより、絶対に大変だとわかっていても、描いていて楽しい印象的な絵にしたい」
想像力を掻き立てられる“空白”は、この先、何を生み出すのか。1巻にして早くも、名作の予感が!
『ブランクスペース』 スイの不思議な能力を偶然知ったショーコ。