2021年5月23日 20:30
終活、世捨て人たちが選んだのは…「死ぬ権利」が人々に与える意識の変化
精神病院で育ったマリー・デネージュやガンを患っているチャーリー、アル中のトムといった具合に、自分を見失っていた彼らが森のなかでいろいろなことを発見していく様子を伝えたいと思ったのです。
たとえば、「誰かを愛し、誰かに愛されたい」とか「自分の尊厳を保ちたい」といったことを考えるうえでは、20歳でも90歳でも同じですよね。劇中でも、マリー・デネージュは何も持たない状態で森にたどり着くものの、心を開くことによって、新しいことや愛を学んでいくのです。30代の人でも「私の未来はどうなってしまうのだろう?」と悩むことはあると思いますが、彼女と同じように少しでも心を開けば、ポジティブな発見があるはず。どんな環境でも、心を開くことで希望が生まれるんだということを描きたいと思いました。
お互いの違いを認め合う美しさを感じてほしい
―この作品では、生きる希望を見つける者もいえば、自ら死を選ぶ者もいますが、そういうキャラクターを描くうえで、意識したことはありましたか?
監督本作に登場するキャラクターたちのいいところは、それぞれに欠点があり、重い過去を抱えているものの、それでも“いま”をつかもうとしている人たちであることです。