2021年6月25日 19:30
妻子持ちの父、差別、孤独…天才彫刻家イサム・ノグチの作品に希望を感じる理由
その芸術活動のエッセンスが凝縮された展覧会です。
父には妻子が…
イサム・ノグチとは、どんな人だったのでしょう。その人生を振り返ってみます。
彼が生まれたのは、アメリカのロサンゼルス。父は詩人の野口米次郎、母はアメリカ人作家で教師のレオニー・ギルモアで、誕生したときすでに父は帰国していました。
3歳で母と日本に渡りますが、父にはほかに妻子がいるという複雑な環境。さらに通っていた小学校では、国際児として差別を受けます。日本人としてもアメリカ人としても居場所のないノグチは、孤独感を味わいます。
母の方針によりアメリカで教育を受けることになり、14歳で渡米。高校卒業後はコロンビア大学の医学部に進学します。医学生のとき、父の知人で世界的細菌学者の野口英世から芸術家になるよう助言されます。
彫刻家の道へ
20歳のとき、美術学校の夜間クラスで彫刻を学びはじめると、すぐに才能を認められて大学を中退。医者の道を捨てて彫刻家として活動をはじめます。
その後、奨学金を獲得してパリに渡り、著名な彫刻家ブランクーシの助手をしながら石彫を習得。アルベルト・ジャコメッティや藤田嗣治など、当時パリで活躍していた芸術家たちとも交流を深めます。