2021年7月2日 19:00
彼女は魔法使いのように人を…ダウン症の女性と注目の監督が紡いだ強い絆
今回は、監督自らがSNSで見出したダフネ役のカロリーナ・ラスパンティさんとの裏話や日本に対する熱い思いについて語っていただきました。
―この作品は、数年前に年老いた父親とダウン症の娘さんが手をつないでバス停にいた姿を監督が見かけたことがきっかけだったそうですが、何がそこまで監督の心をとらえたのでしょうか?
監督そのとき僕は大渋滞にはまった車のなかにいたんですが、ふと外を見たらその親子が目に入ってきたのです。そこで何よりも僕の心をとらえたのは、2人が手をつないでいたこと。それによって、彼らがヒーローや何かの生存者のように見え、そこからいろいろと自問自答し始めるようになりました。そして、手と手を取り合う父と娘の姿を映画にできないだろうか、と考えるようになったのです。
なかでも不思議に思ったのは、「母親はどこにいるのか?」ということと、「父親が娘を支えているのか、それとも娘が父親を支えているのか。どっちがどっちを支えているのだろう?」ということでしたが、そういった疑問がスパークして映画になっていきました。なので、おそらく彼らが手をつないでいなかったら、そんなふうに僕の心に残ることも、映画になることもなかったと思います。