2021年7月2日 19:00
彼女は魔法使いのように人を…ダウン症の女性と注目の監督が紡いだ強い絆
カロリーナは偏見やステレオタイプを壊す存在
―そのなかでも、思い出のシーンはありますか?
監督たとえば、母親が亡くなったあと、車のなかでカロリーナに泣いてもらうシーンを撮ろうとしていたときのこと。彼女に泣いてもらうために、ある方法を取りました。撮影の数か月前に、彼女から「私、ある曲を聞くと必ず泣いちゃうの」という話を偶然聞いていたので、事前に伝えずに突然車内にその曲を流したんです。イタリアで人気のポップスグループ「883」の曲なんですが、彼女にとってはうまくいかなかった初恋の思い出がある曲なんだとか。実際、彼女は本当に涙を流してくれました。
そのほかにも、彼女が職場に復帰するシーンで同僚がお帰りパーティをしてくれるシーンがありますが、それも彼女には教えていなかったので、驚いている彼女のリアクションは本物です。
―確かに、リアルな表情が印象的でした。また、劇中で彼女が放つセリフには、人生における“名言”のような言葉がたくさんあり、どれも心に響きましたが、それらはどのようにして生まれたのでしょうか?
監督脚本の執筆段階から、カロリーナがガイドのように僕を導いてくれていました。