7月某日、都内某所の篠山さんの事務所に取材に伺う。編集者、カメラマン、ライター、全員ド緊張。
仕方がない、だって写真界の巨匠が、扉の向こうにいるわけだから…。
ドキドキしながら部屋に入ると、テレビや雑誌で見たことがある“お馴染みの髪型”の篠山紀信さんが、いた!うわ、本物だ!
――はじめまして。アンアンという雑誌の者です…。
篠山:知ってるよ(笑)。僕も最初の頃は、結構いろいろやってたんですよ?‘90年代に入ってからも、貴花田撮ったり、(ビート)たけし撮ったり…。随分やりましたよ。僕が写真家になった‘60年代、そして‘70年代は、雑誌が元気だったからね。アンアンも相当おしゃれな雑誌だったんだよ。
とんがっててさ。でも、よその会社がアンアンを真似した、しかももうちょっと大衆寄りの雑誌を出しちゃったら、そっちが売れちゃってなぁ。マガジンハウスはおしゃれなんだけど、大衆向けっていうのが下手なんだよな(笑)。
――今のアンアンの読者は、20~30代の女性がメインなのですが、その世代にとっては、篠山さんは“気がついたらもう巨匠だった”という存在です。改めて伺うのもなんですが、篠山さんはそもそもどんな活躍をされて、今この場所まで来られたんですか?
篠山:えー、そんな話したら、1冊自伝が書けちゃうよ?(笑)