今年のアカデミー賞を席巻したのは、作品賞を受賞した『コーダ あいのうた』ですが、それによって注目を集めた存在と言えば、タイトルにもなった「コーダ」と呼ばれる子どもたち。そこで、今回ご紹介するのは、知られざるコーダの文化や内に秘める苦悩に迫った話題のドキュメンタリーです。
『私だけ聴こえる』
【映画、ときどき私】 vol. 488
「コーダ(CODA=Children Of Deaf Adults)」とは、耳の聞こえない親を持つ、耳の聞こえる子どもたちのこと。家では手話を使い、外では口語で話す彼らは、学校に行けば“障害者の子”として扱われ、ろう者たちからは耳が聞こえることで距離を置かれていた。
そんななか、15歳という多感な時期を迎えたのは、「ろうになりたい」と願うあまり聴覚に異変をきたすナイラ、進学を決め、ろうの母から離れることに悩むジェシカ、そしてろう文化のなかでしか自由でいられず学校で孤独を味わっていたMJ。それぞれの葛藤を抱えるコーダの子どもたちが、3年間の撮影を通して語る心情とは……。
2021年に北米最大のドキュメンタリー映画祭HotDocsに選出されるなど、各国で高く評価されている本作。
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