2022年12月1日 19:00
告発されるリスクも……違法な中絶を選ぶしかなかった「女子大生の壮絶な実体験」【映画】
ただ、そういった部分にサスペンス性があると感じたこともあり、映画化に向けて脚本を書き始めました。
自分のなかに突き刺さったのは、怒りの感情
―ということは、ご自身の経験が反映された部分もあったのではないかなと。
監督そうですね。といっても、私の体験と違法な中絶とでは、まったく違うものだと感じました。それでも本を読んでいて私に突き刺さったのは怒り。それは、「どうして私たち女性は自分のカラダの運命さえも自らの手で変えることができないのだろうか」という怒りです。
私は政治学も勉強しているので、いまでも世界のあらゆるところで違法な中絶が行われていることを知っています。それだけに、このことは決して過去の話ではないという思いもありました。
―制作過程では、原作者のアニー・エルノーさんと1日一緒に過ごしたそうですが、そのなかで印象に残っている彼女とのエピソードについても教えてください。
監督彼女との関係性というのは、私にとっては非常に重要なことでした。というのも、今回は単に彼女の作品を映画化するわけではなく、彼女自身の人生をもとにしているので、とても繊細なことでもあったからです。
そこで、私が彼女にお願いしたのは、本には書き切れなかった部分を教えてほしいということ。