映画『零落』で共演 斎藤工×趣里が語る、作品と登場人物の魅力とは
作品の空気感がすでに漂い、照明なども素敵に作られていた中で、深澤を感じて。工さんや監督の竹中(直人)さんはじめ、たくさんのことが助けになったと思います。
斎藤:準備をして現場でそれを表現することでは、太刀打ちできないものがありました。何かを用意するのではなく、もっと踏み込んで、内側に寄り添わなければいけない、と。深澤には、自分という概念がないような気もしていて…フィギュアっぽいというか。もしかしたら、ちふゆも彼が作り出した幻影なんじゃないかという気すらします。そして、ちふゆを媒介とすることで、やっと呼吸ができるような関係性なのかもしれません。異性としてちふゆに惹かれた部分もありますが、取り巻く空虚感みたいなものの周波数が心地よかったんだろうなって。
趣里:私も、ちふゆって本当に存在しているのかな?と思う瞬間がありました。もしかしたら深澤が勝手に作り出したものなんじゃないかって。だからいつ現れて、消えるかわからない。
斎藤:漫画のキャラクターって、それが魅力ですよね。例えばSNSを含め、知らなくていいことまで必要以上に情報を得てしまうと、それ以上の想像はしないけれど、小説や漫画のキャラクターのように、情報のかけらを拾い集めて想像することで、その人の存在がどんどん強まっていくというか。