友情とは? 家族とは? 書店員が選ぶ、人間関係を見つめ直すきっかけを生む6冊
家族は大事だとか恋愛はすべきだといった既存の価値観に踊らされる必要はないし、それでしんどい思いをしている人にこそ、たとえばお店とお客さんのような緩い関係性を複数持つことが気楽に生きるコツだと言っています。この時代らしくて、いま必要とされているアイデアだと思います」
違和感、反発、裏切り…、友情はネガティブな体験からも芽生える。
『うちらきっとズッ友―谷口菜津子短編集―』谷口菜津子/¥880(双葉社)
嘘ばかりつく転校生と彼女が気になる少女、気の合わない嫁と姑、ゲームを介して友情を育む少年少女などを描く、目からウロコの友情オムニバス。「フェミニズム視点と等身大の言葉で男尊女卑的な枠組みをどんどん解放する谷口菜津子さんは、もっとも注目されているマンガ家さんのひとりだと思います。ここがしゃくに障るなど内面が細やかに描かれ、イヤなやつと思いながらもそこに関係性が出来上がるのが面白い。人間関係って人の数だけあるのだなと改めて思いました。頻繁に会っておしゃべりしたり飲みに行ったりする関係性だけが友達だと思いがちですが、これを読むと、こういう関係も友情と呼んでいいのかもしれないという気づきをくれる。