闘病を綴った、西加奈子初のノンフィクションも。本読みライターが注目する、推しの作家&作品
吉田:現実のそれを恋愛もののなかに持ち込んじゃっていいの?という驚きですよね。今までも、目の前の相手との相性の良さを強調するために他の人に対する「合わない」を書く手法はあったんです。だけど、相手のことを「合わない」と感じたり、相手が自分のことを「合わない」と感じているのがわかっちゃっている状態でし続ける関係って何なの、と。
三浦:そういうSEXや恋愛のリアルは、それこそananや恋愛指南書などでは普通に語られてきたけど、たしかに小説では珍しいかもしれませんね。本当のことを書くと冷めてドラマが生まれにくいし、合わないなんて言うべきでないと女性側が洗脳されてきたというか。
吉田:少女漫画でも、ヒロインが気になる男子にいきなりキスされてズッキューンとなるのが昔からのお決まりじゃないですか。そこで「うわ、気持ち悪っ」とか「マジで合わん」となる可能性を、今までの恋愛コンテンツは無視してきた。
三浦:紗倉さんがそこに風穴をあけたと。
吉田:そこを見よ、と。パンドラの箱を開けちゃいましたよ(笑)。
三浦:男性も読んだ方がいいですね。
本を読んで人生を深め、出版界を盛り上げよう。
吉田:今日僕がananにのこのこと顔を出したのは、西加奈子さんの『くもをさがす』を推すためなんです。