闘病を綴った、西加奈子初のノンフィクションも。本読みライターが注目する、推しの作家&作品
三浦:乳がんを公表された西さんの初のノンフィクションですね。
吉田:闘病記なのかな…と読むのを躊躇する人がいるかもしれないけど、これは紛れもなく「西加奈子文学」の最新作。ノンフィクションとか関係なく、西さんの小説を読んで一度でも心が震えたことのある人は安心して手に取ってほしいです。
三浦:まだしっかり読めていませんが、わりと淡々と客観的に、病気のことを見つめているなという印象でした。
吉田:リアルな体験よりも少し抑えめに書いてくださっているようなんですが、正直、読んでいて苦しくなる部分もあります。でも、西さんの真骨頂である「光」がちゃんと見える。西さんは初期からずっと希望を書き続けている人ですから。社会問題を思考することができたりブックガイド的な要素もあったりと、全人類におすすめの一冊です。
三浦:日本の女性作家の小説が海外でブームになっていますが、これまでとは少し違う流れも。ドラマ化もされた原田ひ香さんのベストセラー『三千円の使いかた』が、欧米から人気なんですよ。
吉田:それは知らなかったです。節約系のお金小説ですよね。温かくていい話だけど、ちょっと意外な感じもしますね。