闘病を綴った、西加奈子初のノンフィクションも。本読みライターが注目する、推しの作家&作品
(ごっこ)恋人、夫婦、友だち…。これは「ごっこ」なのか?形式を保ちながら背後に蠢いている感情を丁寧に描いた3作を収録。1650円(講談社)
「体が合わない問題」をさらりと俎上に載せた、紗倉まなさんの『ごっこ』。
「このリアルは男性作家には絶対描けない!」と吉田さんは力説。「体が合わない感覚を抱くのは、男性の側にもあります。ただ、ヘテロ男性はおしなべて身体感覚は鈍いです。女性の側の方がセンシティブだし、紗倉さんは“たったひとつの本職”と公言しているAV女優の仕事を通して、考える機会が多かったのかもしれない」
体の相性や曖昧な関係に悩む女性はもちろん、すべての男性に読んでほしいとも。
「別に合わないなら合わないでいいんですよ。
それでも一緒にいたいと思う感情の尊さ、それだけでなくてズルさも描いた。脱帽です」
西加奈子初のノンフィクションは「西文学」だ。
がんとの闘病の先の希望と生を描く。
『くもをさがす』西 加奈子
カナダ在住時に乳がんが発見された西加奈子さんの闘病と日常生活に対する思いが綴られる。家族や親族のことやカナダと日本の違いなどの描写も興味深い。どんな時代でも生きていくことの希望を描くノンフィクション。