「苦しみの中にある現在の精神科医療にスポットライトを」名匠が見た医療の奇跡
今回は、撮影時の忘れられない出来事や患者とのコミュニケーションで意識したこと、そして精神医学を学ぶべき理由などについて、語っていただきました。
―華やかな作品が並ぶなか、決して派手とは言えない本作がベルリン国際映画祭で最高賞に輝いたことに大きな意味があると感じました。ご自身ではどのように受け止めていますか?
監督これまで映画祭に参加したことはあってもノミネートされたことがなかったので、受賞以前にノミネートされたことがまずはうれしかったです。しかも、金熊賞受賞は予想していなかったので、本当に驚きました。びっくりしすぎて現実とは思えないくらいの衝撃でしたが、自分のことを誇りに思っています。
そして、現在の精神科医療は苦しみのなかにあるので、少しでもそこにスポットライトが当たってくれたらいいなと。この作品が今後の精神医療に与える影響についても、期待しているところです。
―日本ではこういった施設を見たことがない人も多いと思うので、アダマン号はどんなところなのかを教えてください。
監督アダマン号は係留されているので航行する船ではありませんが、水の上にいる感覚はあるので言うならば“浮かぶ建造物”ですね。