「苦しみの中にある現在の精神科医療にスポットライトを」名匠が見た医療の奇跡
一般的に我々は彼らのことを“危険な人たち”のように見てしまうことがありますが、ある統計によると精神疾患の患者たちが他人に襲い掛かるような犯罪例は非常に少ないそうです。
といっても、“魔法の杖”があるわけではないので、いきなり変えるのは簡単ではありません。ただ、社会が彼らに対する見方を変えていけば、それが広がっていくのではないかと考えています。
―とはいえ、彼らとどう向き合っていけばいいかわからない人も多いのではないかなと。ただ、本作は患者たちと信頼関係をうまく築いたからこそ撮れた作品だと思うので、そこに何かヒントがあると感じました。監督はどのようなことに気をつけて撮影をされていたのでしょうか。
監督まさに信頼関係が一番大切なベースになると思っていたので、最初にしたのは、シンプルに説明すること。僕が何を考えているのか、そして「もしカメラを受け入れたくなかったら受け入れなくてもいいよ」と伝え、プレッシャーを与えないように心がけました。
とにかく、僕が彼らをジャッジしたりするような視点でやっているわけではないというのを理解してもらうことが大事だったと思います。あくまでも、その場にある人間関係から一緒に作り出そうとしている気持ちであることをわかってもらえるように意識しました。