「苦しみの中にある現在の精神科医療にスポットライトを」名匠が見た医療の奇跡
施設のなかにはさまざまな場所がありますが、閉ざされた空間はないので、患者たちはどこでも自由に移動が可能。パリの中心でありながら別の場所に来たような錯覚にとらわれるとてもゆったりとした場所です。
もともとはパリの中央にある病院の精神科でチーフをしていた方が船で暮らしている人だったので、こういう場所にデイケアセンターを作ろうと思い立ったとか。精神疾患を抱える方々が過ごす場所は美しいとは限らないので、彼は“美しい場所”を作りたかったんだと思います。
アダマン号では、スタッフと患者に区別はない
―確かに、一般的なデイケアセンターのイメージとはまったく違っていたので驚きました。
監督通っているのは主にパリに住む患者たちですが、アダマン号に病床はないので、みんな朝か昼にやってきてしばらく滞在したら帰ります。定期的に通っている人もいれば不定期の人もいて、ただ雰囲気に浸ってコーヒーを飲みに来る人もいるので、全体的にとても優しい雰囲気ですね。
―アダマン号に漂う自由で温かい空気感は、映像からもよく伝わってきます。
監督しかもアダマン号ではスタッフも患者もみんな私服なので、そこには区別も何もありません。