悪魔、怪物、大食、淫欲… キャラ立ちがスゴい「悪ものたち」を集めた異色の展覧会
のおすすめ作品を教えていただけますか?
渡辺さんデューラーの《騎士と死と悪魔》は、版画のなかで最高峰作品という位置づけで、版画史に残る重要な作品です。技法も優れていますし、「死」をデューラーが工夫して発展させ、あのような版画に仕上げた点もすばらしいです。右側に、ブタの鼻をもつ悪魔も描かれています。
「美術館の悪ものたち」展示風景
渡辺さんまた、このセクションでは、版画によってイメージがイタリアからドイツへ、そしてドイツからイタリアに伝わったことがわかる作品も3点展示しています。イタリアのマントヴァで制作されたマンテーニャの版画がドイツに運ばれ、それをデューラーが入手し、あるイメージを引用して「魔女」を描きます。その版画が、今度はローマに流通し、ヴェネツィアーノという画家が魔女の作品を描きました。会場では、パネルで詳しく解説してありますので、そちらもご覧ください。
ずっと見ていて飽きないイチオシ版画
ジョルジョ・ギージ《人生の寓意》1561年 エングレーヴィング
――続いて、「魔物」のセクションについて、見どころを教えてください。
渡辺さんギージの作品は、16世紀の版画のなかでは非常に有名で、とても魅力的だと思います。