唯一無二の物語を紡ぎ出す29歳。脚本家、演出家、映画監督・加藤拓也に迫る!
一度観たら病みつきになるような唯一無二の物語を紡ぎ出す、演劇界の注目の人物。29歳と思えない深い洞察力の持ち主の素顔は? 最新作からプライベートまで語ってくれました。
『きれいのくに』などのドラマ脚本で注目を浴び、舞台では繊細かつ切れ味の鋭い作風で、強烈な観劇体験をさせる、気鋭の脚本家・演出家、加藤拓也さん。2作目となる長編監督映画『ほつれる』が現在公開中。
――映画『ほつれる』は、加藤さんが主宰される劇団た組で5月に上演された『綿子はもつれる』に近しい物語でした。どういう経緯で制作に至ったのですか?
不倫相手を亡くすという事件から、それまで物事に向き合ってこなかった主人公がどういう行動をとっていくのか。演劇バージョンと映画バージョンを作ったら、別のアプローチでできるなと考えました。
――具体的にはどういうアプローチの違いがあったのですか?
映像は空間を切り取り、焦点をあてることができます。
つまり演劇ではセリフで語っていたことを、表情や構図、カメラワークによって表現できます。セリフの外側でその人物が何を思いその行動に至ったのか、観測している人たち(観客)が思考を巡らせることができるという違いがあります。