“アメリカのZ世代は優しい”って本当? Z世代研究の第一人者による考察
「なかでも特に、1990年代後半から2010年頃生まれの人は幼い頃からインターネットに触れ、世界には多様な人種や思想、価値観の人が存在するという事実を実感してきた世代。同時に、大人たちが見て見ぬふりをして後回しにしてきた環境問題や人種差別などの実態を目にしてきたがゆえに、『私たちの世代で変えなければいけない』という使命感を持ちやすい」とも竹田さんは分析している。
「Z世代の人格形成に大きな影響を及ぼしたことのひとつは、多感な時期にコロナ禍を経験したことだと思います。アメリカはロックダウンの期間が長く、お店が潰れて街が再生不能になってしまったり、隔離や制限によって生活様式が激変しました。そうした変化を学生時代に経験するのと、例えば就職して10年経ってから経験するのとでは意味が違います」
また、コロナ禍でさらに加速したのは「大人たちは何もしてくれなかった」という社会への不信感だった。
「国民の生活よりも景気や経済を優先した政府や、ルールを守れない大人に対しての不信感がさらに増したのがコロナ禍でした。子どもの頃から、銃規制がされないことによって起こる学校での銃撃事件や、格差社会の拡大による資本主義の限界、人種差別による分断などを見てきたことで、『こんな社会は持続可能ではないし、これまでの当たり前を変えるべき』という必然性ゆえに立ち向かっているんです」