「これまでのやり方を壊したかった」話題のフレンチ・アニメーションが日本に上陸
―そういった内容を「チキンが食べたい」というリンダの思いだけで映画にしてしまうのがすごいところでもありますが、なぜチキンを選んだのでしょうか。
マルタ監督食べ物というのは、記憶と密接に繋がっているので、過去の優しい記憶と結び付けられる料理を中心に映画のストーリーを考えたいと思いました。そんなときに思い浮かんだのが、私のおばあちゃんの得意料理でもあった「パプリカ・チキン」。劇中で描く社会の不条理も、その料理がカバーしてくれるのではないかと考えて入れました。
自由な表現も可能にできたと感じている
―また、今回は先に声の収録を行って制作されたそうですが、珍しい方法だと思うので、その意図についてもお聞かせください。
ローデンバック監督アニメーションを作る際、決められた工程を順番通りに進めていくのが縛られているように以前から感じていたので、それを壊したいと思いました。そこで、録音を先にすることで俳優たちが絵の制約を受けないような環境を作ることにしたのです。
録音は4週間かけて行いましたが、野外や学校、階段の踊り場など、劇中に出てくるのと同じ背景のなかで、声優ではなく俳優に実写映画のような演技をしてもらいました。