名画の隠された恐怖を読み解こう!「怖い絵」展が兵庫&東京で開催
の模写にあたります。メデューズ号事件は、フランス王政復古期に起こった、無能な貴族艦長による弱者切り捨ての大スキャンダル。ナポレオン戦争が終結し、西アフリカの植民地セネガルがイギリスからフランスへと返還されることが決まり、海軍のフリゲート艦メデューズ号は3隻の船舶とともに同地に派遣されました。しかし、メデューズ号は早々に、ほかの船舶とはぐれ座礁。400人の乗員に対して救命ボートは250人分しかなく、残りの150人は急ごしらえの筏に乗せられてしまいます。始めは、ボートにひかれていましたが、反乱の恐れありとロープを切り離され大西洋へと放り出されます。わずかの水と食料だけで筏に放置された約150人の乗員たちは、炎天下のアフリカ海域を13日間も漂流し、最終的にサバイバルできたのは、10人弱と言われています。
政府は事件を揉み消そうとしましたが、ジェリコーの傑作がそれを許しませんでした。
作品は模写され、版画になり、ヨーロッパ中に衝撃を与えたのです。そのダイナミックな構図とドラマティックな表現法は、現代のハリウッド映画にまで影響を与え続けています。
●ウィリアム・ホガース『ビール街とジン横丁』より「ジン横丁」