運慶芸術の真髄を味わう史上最大の展覧会、特別展「運慶」がこの秋開催
間近で見あげる四天王立像は、圧巻のひとことです。
●国宝・四天王立像
豊かな装飾がほどこされた甲や着衣の表現もみごとな、躍動感あふれる四天王立像。
国宝 四天王立像のうち多聞天 鎌倉時代・13世紀
奈良・興福寺蔵(南円堂安置) 写真:飛鳥園
●未来に引き継ぐ運慶 調査研究の最先端を紹介
運慶の研究は今なお続けられており、この15年間でも新たに3件の運慶作品、あるいはその可能性が高い作品が見つかっています。X線CT撮影によって得られた像内納入作品の映像など、最新の知見もこの展覧会で紹介されています。
●運慶を生んだ系譜――康慶から運慶へ
平等院鳳凰堂の阿弥陀如来座像の作者・定朝ののち、仏師集団は3つの系統に分れていきます。運慶の父・康慶が属していた奈良仏師は、保守的なほかの2派とは異なり、新たな造形を開発する気概を持っていました。
運慶の父、その師が手がけた像と、若き運慶の作品を展示することによって、運慶独自の造形が培われた過程に光が当てられています。
●阿弥陀如来立像および両脇侍立像
定朝が完成させた和様彫刻(定朝様)は胸腹部が薄く、衣の襞が浅い穏やかな作風が特徴です。
しかし、奈良仏師の作と考えられているこの像にはしっかりと張りのある肉がつき、衣も写実的に表現されています。