そこでジニは今まで語ったことのない極めて個人的なエピソードを披露した。
それは、彼女が幼い頃に自分と母を置いて家を出た父がいるという大変辛い過去だ。
しかし、当時、同じ辛さを味わったジニの母は、一切辛い様子を見せることなく普段通り家事や仕事をこなし、自分が運命の犠牲者と見られることを許さなかったという。
この母の姿からジニは、「リスクを受け入れて大きな夢を抱き、絶対に他の誰かに自分の可能性を委ねるな」ということを学んだという。
そして、IBMの会長となることを上司に提案された日、この教訓が彼女を後押しした。
ジニは自分に自信が持てず昇進の返事をためらった。
しかしその時、あの頃の母の姿が浮かび、上司からの提案を受け入れることにした。
ジニは当時の決意をこう語る。
「提案を受け入れることは、自分にとってリスクを抱えることでもありましたが、成長と心の安らぎは同時には得られないのだと感じました。それは、どんな人でもどんな国でもどんな企業でも、同じです。自分が成長するのはどんな時か、考えてみれば分かるでしょう。