2秒に1人、世界のどこかで子どもが子どもを出産している。日本人も他人事ではない、社会の陰に隠れた“若年妊娠”の事実。
この数字だけで見ると「10%か」と思う人もいるかもしれないが、特筆したいのは10代の人工妊娠中絶の数は17,854 件。そう、10代での妊娠では出産よりも中絶の道を選ぶケースが上回り、望まない妊娠が多いことがよくわかる。 発展途上国と違い避妊具が比較的手に入りやすい日本での若年妊娠の要因として挙げられるのは実用性のない「性教育」である。小学校や中学校で学んできた性教育について思い出してみてほしい。私たちが学習してきたのは「生殖器の発達」や「思春期の心の変化」などであり、性交にや妊娠、避妊や中絶など私たちが実際の生活で経験することについてはほとんど触れていない。2009年にユネスコが発表した 「国際性教育ガイダンス(International technical guidance on sexuality education)」では人間関係や価値観、性行動といった6つのコンセプトを年齢に応じて段階的に教育するシステムを推奨している。単に知識を詰め込むだけでなく心理的発達や性的自己決定能力を育てる「実用的な教育」がもっとも効果的であると多くの研究結果が裏付けており、すでにいくつかの国では必修化されている。