「なんとなくで生きてきた自分を変えたかったんです」。“スマホを捨てた若者”が、太鼓に夢を懸ける理由 VOL.3
なんて文句を言ったりしてて。
ー後から気づいたんですね。実はあの時すごく助けてもらっていたんだなと。
そうですね。振り返るとあの時は母の他にも、いろんな人にお世話になりました。母がいないときはおばあちゃんがご飯を作りに来てくれたり、歩けないからって友達が家まで遊びに来てくれたり。そういうみんなの助けがあったから、今ここに居られるんです。だから俺も、人のために何かしたいと思うようになったんだと思います。
そのための太鼓なんです。
ーじゃあ鼓童の舞台に立った自分の姿を見せることが、一つの恩返しになりますね。
はい。ここに来るまでずっとお世話になっていたチームや先生、友達、家族に、いつか鼓童の舞台に立った姿を見せられたらと思います。
定成 啓 Kei Sadanari 19歳
ー太鼓を始めたのはいつですか?
小学生の時ですね。おじいちゃんが太鼓のチームに作っていたので、最初はしょうがなくって感じで。それで高校生まで続けて、こっちに来ました。
ー最初はやらされている感覚だったと?
はい、もう大嫌いでしたから。
ーいつから自分ごとになったんですか?
小学校の高学年になると、チームの友達といるのが楽しくなってきて。